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僕たちは希望という名の列車に乗ったのmiumiuのレビュー・感想・評価

4.4
実話を基にした物語。
1950年代、ベルリンの壁が築かれる前の東ドイツ。
ハンガリーで起きた蜂起に共感し、死者を哀悼しようと純粋な思いから起こしたたった2分の政治的な行動。
それが政府への反抗とみなされ、高校生たちが追い詰められていく物語。


未来ある若者が辛い思いをする話は観ていられない… とスルーするつもりだったけれど、邦題にある「希望」というフレーズに賭けて鑑賞。(原題は『沈黙する教室』)

これは観て良かった。
登場する高校生たちが、みんなタイプは違えどみんないい。役者の表情が本当に良かった。
そして思っていた以上に青春映画。
友情、恋愛、それぞれの若者の家族関係の違いとその行く末にもグッとくる。
(ファッションも素敵。東側のお話なら地味だろう、という思い込みが覆された。)

信念を貫こうとする気持ち、みんなのために嘘をついて取り繕おうとする気持ち、正直であろうとする気持ち、どれもわかる。高校生たちの中には悪者はいないんだよ。

終始緊迫感のある展開の中、一番泣けたのは、最初に列車に乗った彼と父親のエピソード。
ひたすら緊張しながら泣いた。


社会主義政権下とはいえ、やはり個人が自分の意見を言えない、悪意のない行動を責められる社会はおかしい。
自分はもう充分大人だから、若者が意見を言える社会を守らなければ、作らなければと改めて思わされた作品だった。
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