ぱんだまん

僕たちは希望という名の列車に乗ったのぱんだまんのネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

いやー良かった。去年のうちに観とくべきだった。まあいつ観ても面白いとは思うのだが。

多感な高校生に迫るイデオロギーの対立。彼らはそんな国に産み落とされ、ゼロからイデオロギーに染まってゆく。反発は許されない。思考こそが国家の敵なのだから。従うことが生きること。ふとした黙祷が国家反逆に繋がる時代において、彼らの自由な思考は、それだけで罪になる。その葛藤を描いた作品。

まるで小説かのように描写は丁寧。クラスメイトだけでなく、彼らの家族の描写も行われる。もちろん彼らもそこに生きる人間だからだ。郡教務局の尋問によって次第に明らかになっていくクラスメイトやその家族の事情。そして徐々に変化してゆく彼らの人間関係。それらが複雑に絡み合い、恋愛と裏切り、信念と嘘、全てが交差しながら物語は進む。サッカー選手の死が西側のプロパガンダであると知らされるシーンやエドガーの元に郡教務局の連中が向かうシーンなど、印象に残るシーンは多いが、中でもエリックに実父の真実が明かされるシーンは、こちらも息を呑んでしまうほどにハラハラさせられた。とても実話とは思えないドラマティックな展開に驚かされた。

最後に、
ケスラー、お前だけは許さん
そして、
エリック…無事かい…
ぱんだまん

ぱんだまん