kirito

僕たちは希望という名の列車に乗ったのkiritoのレビュー・感想・評価

3.9
【首謀者】

ラーズ・クラウム監督は「アイヒマンを追え」でもそうだけどやはりこの時代付近を描きたいんだろうな🤔

1956年の東ドイツに通うテオとクルト。ある日ハンガリーの民衆蜂起のニュースをみて、授業の2分間を黙祷しようという提案をする。
しかしこの2分間の黙祷が大事となっていき・・・

その先長い間続く西と東の壁。
歴史的には西は資本主義をとりいれ発展していく一方で東は社会主義のままで発展しなかった経緯がある。

学生としての社会への疑問や、体制への反発。いい意味でも悪い意味でも無鉄砲でしがらみのない学生としての行動が、大臣までも呼ぶ騒ぎになるとは当時の彼らは思わなかったのではなかろうか。

本来であれば進学クラスとして将来を約束された彼らに突き付けられる退学の文字。それは社会主義の部品として今後生きていくことに他ならなかった。

しかし、体制側からは退学を選ぶか、首謀者を差し出すかという難題をクラス全員が突きつけられる。
卑怯な手を使ってでもみせしめとしなければ…というくらい体制側にとってもきっと怖い事態だったのだと思う。

最後に実際の話が書かれるが、西と東を繋ぐ列車。それこそが彼らにとっての「希望」であったんだな…と。

2020.5.3
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