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家族にサルーテ!イスキア島は大騒動のakrutmのレビュー・感想・評価

4.5
イタリアのイスキア島で暮らす老夫婦の金婚式を祝うために集まった子供たちや親戚一同19名の人間模様を描いた、ガブリエレ・ムッチーノ監督のハートフル・コメディ映画。日帰りの予定が帰りのフェリーが欠航したために全員が島で一夜を過ごすことになり、微妙な人間関係や夫婦・家族に隠していた秘密が次々と露呈していくというストーリー。

元妻と現在の妻との確執、夫の浮気、初恋相手との不倫、親戚による仕事の無心、夫の介護など、各エピソードはどこの親戚にもありそうな話であるが、イスキア島の美しい風景を背景に、総勢19名の親戚が繰り広げるドタバタ劇はかなりのインパクトで、壮観でさえある。いろいろな問題が露呈することで険悪な雰囲気になるが、それでも無職でダメ男のリッカルドがピアノを演奏しながら歌い出すと、みんながその周りを囲んで歌い出すというシーンは、イタリア人の良い意味での楽観的な性格が印象的に表現されている。映画を最後まで観ても個々の問題は必ずしも解決されるわけではないが、それでも人生は進んでいくというどこか達観したラストシーンも秀逸である。

登場人物の中で特に印象に残ったのが、小説家である次男パオロと、彼の初恋相手である遠い親戚の既婚女性イザベッラ。イザベッラを演じたエレナ・クッチがとても魅力的だった。
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