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ラ・ヨローナ~泣く女~のAirconのネタバレレビュー・内容・結末

ラ・ヨローナ~泣く女~(2019年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

物語構成の骨格的な「母と子」のモチーフ×3
①1673年メキシコでのラ・ヨローナによる夫の浮気に怒り子供を溺死させる事件が起き(根本原因、呪い)、②1973年ロスでの児童虐待を疑い児童を保護するが、ラ・ヨローナの呪いからの保護を解いてしまった(原因、きっかけ)、③常識的に間違えてしまったソーシャルワーカーで二児のシングルマザーのアンナとその子供たちは次なる呪い先としてラ・ヨローナに選ばれてしまう(本編)。

お化けがもはやDarkthrone
プールのところは一瞬『A Blaze~』かと思った。

今回も前半は(家に憑りついてる系ではないが、)ひたすら霊に生活や命を脅かされ、困る。
だんだん原因や背景情報が開示される。
一通りやられて限界が来たところで、後半、霊のシステムを把握している人=専門家が登場して、解決編になる。
ホームアローン的な万全の対策をしてバトル。
ハラハラもありつつなんとか勝ってハッピーエンド、という構造。


子供を殺され闇落ちしたパトリシアの描写がすこし足りない気も。
前半は勘違いとは言え、パトリシアの主観では、救えた子供を余計な介入によって殺され闇落ち、その後、教会で代わりの生贄としてアンナの子供を狙うように頼む。
後半は謎に直接現れ、ラファエル退場とアンナ退場の原因を作り、子供を孤立させ、適度なところでアンナに共感し復帰させ、ラファエルも謎に大丈夫で、、、という一波乱担当。
一連の行動の動機は理解できるものの、システム的にラ・ヨローナへの依頼は通じるのか、そしてこれは通じた結果なのか、あと感情的にパトリシアの主観では完全に「アンナのせい」だから「この行動」なんだけど、アンナにまったく伝わっていない(アンナは落ち度を認めていないか気付いていない)ので迷惑おばさん的な雰囲気になってる。。。

それにも関連して、構造的に、子供が狙われてるので保護者である「母の鈍感さ」が必要だけど、主人公としてのしっかり感とぶつかってガッカリ感が少し。
主人公がベストな行動をしないと共感できなくなるやつ。
アンナはなかなか鈍感で、子供が大変なことに合っていることももちろん気付かないが、中盤で自分の前に現れたラ・ヨローナも霊だと思っていない描写がある。

あとこれも映画的に必要だからしょうがないことだけど現実的に考えると、子供たちがみんな「しるし」のことを隠すことによって、大人の保護がなかなか機能しないことと、アンナ自身も後輩ソーシャルワーカーから屈辱の「虐待疑惑」をかけられる部分に関して、、たしかに「ラ・ヨローナに付けられました」と言っても「転んだだけです」と変わらず、親の虐待を疑われるんだろうけど、パトリシアの子供の時点からそう訴え続け、みんなが「ラ・ヨローナにやられた」と言っていれば、特殊な例だとしても対応できるようになりそう。
つまり、「言わないのはしょうがない」「言っても意味ない」、だろうけど意味はあって、現実にはその小さい意味の積み重ねなのかな、とか思った。
あと今回、割としょっちゅう出てくるので、超常現象の割に再現性がありそうだから、意外と証明が簡単そう。


今回はビックリはいっぱいあるけど、超爆音系ではなかったのが良かったのと、和風ホラーっぽい不気味さ、ビックリだけじゃないゾワゾワ感があって結構好きだった。
だけど普通に出てきすぎて、顔もしっかり目に出てくるので、コープスペイントの普通の人間ぽさも、、それはそれで面白かったから良かったかも。
あとおじさんも良かった。顔芸が良い。
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