XA12

象は静かに座っているのXA12のレビュー・感想・評価

象は静かに座っている(2018年製作の映画)
4.7
日本公開当時見たけど、DVDで再見。
4時間の長尺だからかフーボー自身が影響を受けてるのか知らないけど、クーリンチェと何故か比較されることが多いこの作品。むしろ、同じ本土のジャジャンクー作品群に近かった気がするなぁ。PM2.5か黄砂かただの曇りなのか、そんな天気も画面のピント合わせも。フーボーはタルベーラを師と仰いでたらしいけど、もうとっくに越えてると思うし、そんなに影響は感じなかったかな。もし、この映画がモノクロで製作されてると考えると、、、まあ、どうせ青山真治のユリーカと比べられるんでしょうね。

恥ずかしいけど、中盤ブーとチェンが邂逅するシーンで「この映画は俺のこれからの人生に多大な影響を及ぼすかもしれない」って感じた。
そしてブーが「お前なんか死んじまえ」って叫ぶシーン。誰を指してるか分からない。いや、誰でもないし全員でもあるんだろうね。
もう自分にとって本当に言葉で表せられないほどの映画なんですけど、唯一気になるのは、主人公の一人で女子生徒のリンの存在。彼女のストーリーは正直必要性が薄いと思うんですよね。関係があった先生とその嫁をバールかなんかで殴ったシーンが「無駄に爽やか」な感じがして、、、
他の3人にとっては満州里は「逃げる場所」でも、彼女にとっては「旅立つ先」って思ってしまう人も多い。まあ、この映画では両方とも同じ意味なんだけど、伝わるかなぁ?
「根っこが同じ似た者同士の男3人と劇中の事件に影響を受けたもう一人」って考えたら無碍にはできないけどね。

先述のエドワードヤンもジャジャンクーも最高の巨匠だけど、彼らの作品はある一定の位置で留まってるから客観視出来てそれに助かってる部分が大きかった。
けど、フーボーはそうじゃない。
とりあえず、この映画ほど俺個人に踏み込んできた作品を知らない。
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