なお

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のなおのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

"Don‘t move…✋"

ジュラシック・シリーズ第6弾。

オーウェンやクレアを始めとする『ジュラシック・ワールド』のキャストたちはもちろん、2001年公開『ジュラシック・パークⅢ』以来21年ぶりにアラン・グラント(サム・ニール)とエリー・サトラー(ローラ・ダーン)の両レジェンドがシリーズに復帰。

時に恐竜パニックもの、時に恐竜との人間の共生を描いてきた大作シリーズがついに完結。

✏️シリーズ完結
約30年前、当時としては異例の映像技術で世間を沸かせた恐竜パニックムービーが堂々完結…
完結?ホントにこれでいいのか…?

物語は主にグラントとエリー、ついでにイアンのいわゆる「レジェンド」たちで進むパート、そしてオーウェンにクレア、物語の鍵を握るメイジーで進むパート、そして二つの物語が一堂に会し、クライマックスに向けて進んでいく最終パートで構成されている。

この構図自体はまったく悪くない。
むしろ、21年ぶりにシリーズ復帰したサム・ニールとローラ・ダーンの姿には思わず目頭を熱くしてしまった…
(やはり自分は『ゴーストバスターズ/アフターライフ』にも通ずる「レジェンド復帰!」的な演出にどうしてもヨワい)

しかし物語全体を通して、今ひとつ盛り上がりどころ、興奮が最高潮に達するシーンや展開というものに乏しいのが非常に残念。

『ジュラシック・ワールド』以降、「恐竜との共生」というテーマも描かれるようになった当シリーズ。
そんなテーマがある中で、オーウェンが調教してきたヴェロキラプトルのブルーの活躍シーンが一切ないのも個人的には不満。

「恐竜との対話」をする時間や猶予などなかったレジェンド3人に、ぜひともオーウェンが模索してきた「共生への道」を示してほしかったところ。

21年ぶりに復帰したレジェンド2人の関係性についても疑問符。
変に、そして無駄に中途半端な恋愛要素を織り交ぜてほしくはなかった。
たしかに30年前、お互いに気はあったのかもしれないが…
それを今になって描く必要があるかは疑問。

本作で初登場となったキャラクターたちも、なんだかフワッとした理由で組織を裏切ったり共闘関係になったり。
取ってつけたようなキャラ設定も気になる。

✏️ヴィランの存在感
今回オーウェンたちの前に敵として立ちはだかるのは巨大バイオ企業のCEOであるルイス・ドジスン。

現代社会に恐竜が生息している世界観、という制約がある以上仕方ないのかもしれないが、主人公vs巨大バイオ企業の重役or恐竜を悪用しようとする人物という設定もそろそろ食傷気味。

またこのCEO、ひいては恐竜売買の闇ルートを仕切っている謎の組織に悪役としての魅力がほぼなく、小物感が拭えない。

これは決して改造恐竜を出せという意味ではないが、『ジュラシック・ワールド』で言うところのインドミナス・レックス、『炎の王国』で言うところのインドラプトルのような、アイコニックな存在が終始不在なのである。
(強いて言えばブルーがそのような存在になるところだが、あいにく彼はお留守番)

クライマックスで描かれる、お約束の恐竜バトルも暗がりで行われており、何が起きているのか、どちらが優勢なのかなど何も伝わってこない。

一応、第1作で伏線臭をバリバリに漂わせていた"スプレー缶"も出てくるが、劇中では重要な鍵を握るアイテムというわけでもなく、ただのイースターエッグ的要素に留まっているのも残念。

締めくくり方もなんだか曖昧で味気なし。
他の動物と恐竜たちが並んで映るシーンがセリフと共に挿入されるワケだが、そんなものでは騙されないよ…

☑️まとめ
シリーズクライマックスを銘打った作品にしてはなんとも尻すぼみな感じ。
レジェンド3人の同窓会、オーウェンら新生・ジュラシックメンバーの共演は目には楽しかったが…

30年前とは違いさまざまなエンタメや映像作品があふれる現代において、ほぼ恐竜パニックだけで2時間半を押し通すのはかなり厳しい。

レジェンド2人の姿をどうしても拝みたい!ということなら今すぐ映画館へGOだけれども、そうでもない、見るのを迷っている感じであればサブスク待ちでも良いかも。

🎬2022年鑑賞数:86(36)
※カッコ内は劇場鑑賞数
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