さっこ

ジュラシック・ワールド/新たなる支配者のさっこのレビュー・感想・評価

3.6
🦖
自分はこの映画を見て恐竜と共生することに決めました…🤔
本当は恐竜なんかと共生するのはちょっと嫌だし、怖い気もするけど、きっと共生できると思います✨
臆病な自分に恐竜と共生する勇気を与えてくれた素晴らしい作品でした🥹
(…とでも思えばいいのか?変なメッセージだった🤔)


🦕
本作にはひとつだけ今までになかった良いところがあって、それは
「シリーズ最多種の新恐竜が出てきて、しかもモブではなく、ちゃんと主人公たちを襲ってくる」
ということ。
これが見れるだけで、個人的にはけっこうおもしろかった✨



感想終わり。








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以下の文章は、6月に行われたイベントでの中山市朗氏の怪談です。
おもしろい話でしたが、デリケートな問題に触れているため一般的な公開が難しい話です。
埋もれさすのはもったいないのでここに記します。メモを採ったのでなるべく語りに忠実に文字に起こしてます。
長い話です。①〜⑤段落まであります。







【小児科医が語るある兄弟の話】








平成3年、関西のとある地方都市の病院にSさんが赴任した。Sさんは当時まだ新人の小児科医だった。
赴任してそうそう、母親に抱き抱えられた子供が来院した。
ぱっと見で健常者ではないことがわかる子供だった。
3.4歳くらい見えたその子供は、まずアゴが長く尖っていた。そして鼻が大きくせりあがっている。そして目はボコッと窪んで奥に小さい丸い目があった。

後で聞いてみると、その子供は●●町の●●さんの家の子供で今現在8歳で、産まれてからずっと立つことも座ることも歩くこともできない寝たきりで、言葉も発せないし、泣くことさえできないのだという。

しかもその家には2歳年上のお兄さんがいて、お兄さんも同じ顔をしていて寝たきりで言葉を発することも出来ず、全く同じ症状らしい。
二人とも小学校には行っていない。

「それは染色体の異常なんでしょう?」
ところがそれも分からないらしい…。
その兄弟が産まれたのはこの病院なので、医師たちはいろいろ調べている。症状としても珍しいし、兄弟二人というのも原因がわからない。それで大学病院の医師が来て調べたりしたが、やはりよく分からない。
そんな兄弟なので小児科の界隈では有名で、論文にもなっている。
Sさんはその論文をすでに読んでいて、ああ、この子供たちが論文に書かれていたあの兄弟だったのか、と後で思い至った。まさか自分が関わることになるとは…と思ったそうだ。




来院した弟は体調を崩したらしく、その日から入院することになった。
兄弟はときおり発熱したり、食べたものを戻したり体調を崩すことがあり、兄も弟も入退院を繰り返していた。

入院したときは、お父さんとお母さんが交代で兄弟の付き添いをする。
お母さんは自分の息子たちを大変かわいがっており、甲斐甲斐しくいろいろと世話をしてくれていた。
ところがお父さんは何もしなかったそうだ。
状態が悪くなったとき、医師や看護師がバタバタしても、お父さんは病室の隅にぽつんと座っているだけだったと言う。

お父さんも以前はお母さんのように子供たちの面倒をよく見ていたのだと言う。ところが最近になって無関心になってしまった。近くで見ていた看護師には何かお父さんは子供たちを遠ざけているように見えた。
看護師は、お父さんにもっと子供たちに向き合い、現実を受け入れて、この子たちの将来について考えてほしいと思った。
そしてそのことをお父さんに話した。最初は拒否されたが、次第と心を開いてくれ、いろいろ話しをする関係になっていった。


ある夜、看護師が入院している弟の体温を測り、病室を出ようしたら、お父さんがやって来て声をかけられた。
「看護師さん、ちょっと聞いてほしいんです」
なんですか
「実は自分はこの子たちが怖いんです」
やっぱり…。看護師はそんな気がしていた。しかしなぜだろう?
お父さんは子供たちを恐れている理由を語り始めた。




このお父さんの職業は猟師であった。そしてお父さんのお父さん、つまり子供たちからするとお爺さんも猟師だった。
この家の家系は代々、猟師をして生計をたてている家柄であった。

このお爺さんは、長男を大層かわいがってくれたらしい。
しかし、2年後、同じ障害を抱えて弟が生まれたときの話だ。
お爺さんは病院にやって来て、お父さんを呼んだ。人気のない部屋に二人で入り、扉を閉めるなり、お爺さんはお父さんに土下座をした。
「すまない!ワシのせいだ!」
??
「ワシのせいでこんな孫が産まれてしまったんだ!」
一体何を言ってるんだ…??

混乱するお父さんにお爺さんは猟に出かけたある日のことを語ったのだそうだ。


──その日は一日中、山を回ったんだが、獲物が1匹も獲れなかった。そして午後3時をすぎ、山は日の入りが早いため、もう下山しなければならない。
片付けをし、銃をしまおうとしたとき、遠くの草むらが動いた。
ガサガサと音がして何かが向こうに走っていく。
猪だ!とおじいさんは猟銃を持ち直し、追いかけた。
猪の向かう先は崖だった。うまくそこに追い詰めれば、獲物を撃てるかもしれない。
うまいことに猪は崖に行った。
お爺さんが銃を構えて近付いていくと、姿が見えた。
それは猪ではなく猿だった。生まれてまもない子猿と母猿だった。
猿か…。お爺さんはがっかりした。
親子の猿はじっとこっちを見て動かない。まるで命乞いでもする様だった。
猿など撃っても仕方ない。
しかし、丸一日の働きが徒労に終わったそのストレスとちょっとした遊び心があったのかもしれない。
つい構えた猟銃の引き金を引いてしまった。
ターンと山に音が鳴り響き、猿の親子は倒れた。
しまった!
近くに行ってみると親子の体を弾は撃ち抜いていた。悪いことに2匹とも殺してしまった。
ああ、なんてひどいことをしてしまったんだ…。
お爺さんは猿の親子を埋めてやってから下山した。
長男が産まれたのはその数日後だったらしい。

「わしは長男を可愛がったが、その2年後の今、また同じ子供が産まれてしまった。これはワシせいや。ワシが猿を撃ったからや。猿の祟りや…」

お爺さんは土下座して言うが、お父さんは信じなかった。




ある日、お父さんは家に居た。お母さんは買い物に出掛けていた。二階に子供の部屋がありベッドに兄弟が寝ている。
お父さんはタバコを切らしてしまい、買いに出かけることにした。玄関で突っ掛けを履いて引き戸をガラガラと開けてピシャっと閉めて表へ出た。
ところが歩き出してから財布を忘れたことに気づいた。
すぐ家に戻る。
すると家の中から
ケー!
ケー!ケー!
という獣の鳴き声のようなすごい音がした。
あれ、鳥が家の中にはいったのか?そこで裏口から家に入ってみた。
鳥はいない。しかし
ケー!
ケー!ケー!
というすごい鳴き声はする。どこだ?どうやら二階のようだ。どうして二階に?
音を立てずに二階に上がってみる。
すると鳴き声は子供部屋から聞こえた。
お父さんはそーっと襖を開けて中を覗いてみた。

ケー!
ケー!ケー!
ケー!ケー!
そこにはベッドの上に座る二人の兄弟の姿があった。
鳥の鳴き声のようなすごい声は兄弟から発せられたものだった。

ケー!ケー!
ケー!
ケー!ケー!
しかもその声は、明らかに何か会話をしているようだった。
お父さんは思わず声が出そうになるのを堪えて、そっと戸を閉めて階段を降りていった。

「それ以来、自分はあの子たちが怖いんです」
聞かされた看護師はとても信じられなかった。
「お父さん、お子さんたちは体を起こすこともできないし、言葉も声も発せられないんですよ。寝たきりの子供たちが座って会話をするなんて…そんなことあるわけないじゃないですか」
病室の隅でヒソヒソと話していたとき、看護師がふと何気なく弟の方を見た。聞き耳をたてているようでこちらを見ていて、目がバチっと合った。
いつも無表情な顔の子供が「ふん、気づいとったんかい」とでも言いたげな顔をしていた。看護師はゾッとした。




後日談。
Sさんは短期間その病院に赴任していただけで、またべつの病院に移ることになったそうなので、その後あの兄弟がどうなったかは分からない。
Sさんとしては、その兄弟の話はにわかに信じられないと言う。猿を撃ったからと言ってそんな子供が産まれるなんて、いかにも田舎の因縁話のようで滑稽に思えたという。
鳴き声もそうだが顔も、猿というより鳥に似てると感じたので、それもSさんには合点がいかなかったそうだ。
しかし不思議な体験が民話として残っていく、その過程を見た気がする…と思ったらしい。

今年になって中山市朗氏はSさんにその兄弟について改めて調べてもらった。
兄弟は二人とも既に亡くなっていた。当時、8歳の弟の方は11歳で亡くなっていた。
10歳の兄は20歳になる直前で亡くなった。
そして、今回調べて初めて知って驚いたのだが、兄弟のお爺さんは弟が産まれた日の3日後に猟銃を口に咥えて自殺していたそうだ。
完全にお爺さんは呪いだと信じ込んでいたようだ。



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