ナミモト

ウエスト・サイド・ストーリーのナミモトのレビュー・感想・評価

3.7
ポーランドからの移民2世の子どもたちジェッツと、プエルトリコからの移民シャークとの闘争。そして、その闘争の末に起こる悲劇の連鎖。現代版ロミオとジュリエットとも言われる本作は、まさにミュージカル映画の古典中の古典。
61年版も何度か観たことがあります。その上でも、今回のウエスト・サイド・ストーリーはまさに完璧。脱帽しかありません。ありがとう、スピルバーグ…。
どうしても61年版との比較となりますが、スラム街を一層し、高級マンションを建設しようとするマンハッタン市の開発事業が、ジェッツ対シャークの対立の外側にある、もうひとつの対立ですね。(オレたちは、社会病だ!というね)ジェッツもシャークも関わらず、この貧困街に生まれ、もしくは、集まった人々は社会の片隅で生きる同士であるはずなのに、対立し合う悲しさ。その対立から生まれる憎しみや怒りの連鎖を止められない悲しさ。誰も悪くないのに、誰もがそれぞれの幸せを望んでいたはずなのに、誰も止めることができなかった悲劇。絶対にこいつが悪い!という立場がいないからこそ、ウエスト・サイド・ストーリーは傑作と思います。
見る前からストーリーも知っていたし、悲劇と分かっていても、やっぱり泣いていました。
決闘の夜、クラプキ警部たちが、この街の若者の誰一人として血を流させるな、と、あの大人たちの目線が、年齢を経るごとに地味に響いてくる…笑。

CoolとI Feel Prettyの曲順にも注目。Coolを誰が歌うか、も注目。
リタ・モレノは本当最高。

トニーとマリアの身勝手さ、一目惚れ早すぎる、など、ツッコミどころはもう恋してしまった二人には仕方ないこととして…、今見ると、登場人物たちの感情の表れ方が、単純すぎるなぁとも感じましたが、まぁ、その点は、古典劇をみていると思えば。
ですが、本作でのトニーのキャラクター性の奥行きは61年版よりも増していたと感じました。出所後の彼が、自分を見つめ直し、生き直そうと心境や、カッとなるとキレやすい性格は決闘シーンでも垣間見れました。どうやら、トニーはブチ切れるとボクサーのベルナルドより強いらしいぞ、と。そしてその後の悔悛。アップダウンの激しい感情の揺れ動きは、本作では、トニーに限ったことではありませんが、その秤の目盛りがどちらかに振り切れてしまうような、その振り切れる勢いを自分でも止められない、それは若さゆえかもしれない、ああ、けれどもどうして…!と、こちらまで感情を揺さぶられてしまうのが、ウエスト・サイド・ストーリーの魅力ですね。
(トニー役、ベイビー・ドライバーの彼でしたか!)

個人的なキュンポイントは
・トニー身長何センチあるの
・バルコニーではトニーが下
・マリア、歌うまいぜ
・アスファルトでもキレッキレなダンス
・アニータを助けようとする女たち
などなど

マストですよ。劇場で、できれば、良い音源で、マスト鑑賞!
ナミモト

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