Kawaguchi

ウエスト・サイド・ストーリーのKawaguchiのレビュー・感想・評価

4.3
「なぜ今スピルバーグがリメイクする必要があったのか?」

まず、ウエストサイド物語とは、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を50年代のアメリカに移し替えた物語でした。移民であるプエルトリコ系アメリカ人とポーランド系の貧しい白人との抗争を描いた誰もが知る名作中の名作。なぜいまスピルバーグがリメイクしないといけないのか?

それは57年に初めてブロードウェイに「ウエストサイド物語」がかかった時から、現在までアメリカは変わってないからです。

いつかの赤いネクタイに金髪の大統領候補が大きな声でいってましたよね。「メキシコや〇〇からの、移民を受け入れるから私たちは貧しいんだ。そいつらが私たちの仕事を奪うんだ。メキシコに壁を作れ」と。そして、貧しい労働者階級の白人からの絶大な支持を集め大統領になりました。

弱いものいじめは続いているのです。本当の敵は、資本家階級であり、労働者を搾取するシステムそのものだというのに。60年前から、根本的には変わってないんです。だから、スピルバーグがリメイクする必要があったんですよね。

19年アカデミー作品賞のポン・ジュノ「パラサイト」もこんな話でしたね。本当に倒すべきものがいるのに、殺し合うのは、貧しい半地下の家族とそれより貧しいもっと地下に住む家族でした。

決闘から帰って来たトニーは、マリアと再開し、名曲サムウェアを哀しげに歌います。「どこか遠くへ連れて行くよ、どこかに僕たちの居場所があるはずさ」
Kawaguchi

Kawaguchi