ふぃるま

ウエスト・サイド・ストーリーのふぃるまのレビュー・感想・評価

2.8
まず、この大作をリメイクする挑戦に拍手を送りたい。

前作と比べ、全体的にブラッシュアップされた印象。
歌やダンスのシーンは見応え充分であり、絵画のように美しい場面や、流麗なカメラワーク、アップを多用した歌の場面には引き込まれる。
マリア役の女の子が途轍もなく良かった。
前作が舞台的というなら今作はより映画的で、そこは今の時代にあっているかなあと。

ただ私、期待値が高かったのかなあ。ちょっと評価が低いのだ。
その期待は、スピルバーグだったら全く新しいミュージカルの形を少しでも見せてくれるだろうというもので、それは叶わなかった。
『プライベート・ライアン』に感じた、戦争映画をこう撮るか! という興奮には至らない。

加えて、この時代にあえてこの映画をリメイクする意図も分かんなかったなあ。
単にスピルバーグがやりたかっただけのような気もする。
いや、それでも全然良いんですけど、なんか現代を感じたかったというか。


ここからは少しネタバレ。
リメイクにネタバレもへったくれも無いやろと思いつつ、まっさらで観たい人もいるかもしれないので。




実は私、前作の『ウエストサイド物語』がそもそも苦手というか腑に落ちず、なんでこの映画が当時大ヒットし、アカデミー賞も取ったのか、さっぱり分からないのであります。

野暮を承知で言わせてもらうと、結局この物語で語られるのは反社会的な若者がやんちゃし過ぎて命を落とすということであり、それを「反戦」や「憎しみからは何も産まれない」と捉えることはできるけど、それでも殺さなくてもいいし死ななくてもいいじゃんと思ってしまうのです。

しかもチンピラの縄張り争いでしょ?
そんなことで未来ある若者が命を落としちゃいけないよ。
言葉は悪いかもしれないけど、頭が悪いとうか。
だから私には、この物語の世界観自体がハマれないものだったと改めて感じた次第であります。

なので、前作が好き(そういう人が多数でしょう)という人は楽しめるのではないでしょうか。
ふぃるま

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