ヨミ

ウエスト・サイド・ストーリーのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

愛の映画。ひとり映像博物館。
あまりに煌びやか。「映像」とハリウッド、「光」「色」「音」への愛。
常に最大量の照明がフレアを伴って輝く。ハイキーでやや白飛びするかのような画面が淡い画調で映されると、なんだかヒッチコックを観ているような気分にもなる。
物語はいわゆる「いつも通り」なのだけれど、そこも愛の問題である。しかし、画面にみなぎる映像への愛。光、万華鏡のような鏡(これは『ブリッジ・オブ・スパイ』でスピルバーグが獲得した文学性だ!)。そして床に映る顔。「光の反射」、光学という映像の本質について、常に画面で語っている。映像への限りない愛……とか思ってたら白黒写真が出てきて19世紀前半にも目配せですか!?!?とたまげてしまった。映像博物館のような映画だ。
そしてドレスが散りばめる種々の「色」。カラーという、映画の革命。そしてミュージカルというポイントは「音」であり、トーキーという革命。
セット撮影を思わせるような大量の照明と構図は、ヌーヴェルヴァーグ以前、完璧なセットを組んで撮影していた時代のハリウッドへの憧憬なのだろうか。
そしてあえてフレアや光の拡散(そしてステンドグラスを通したりスペクトル分解された色!)が目一杯映されるのは、それこそ新海誠的である(松下哲也がシコリティと論じたもの)。ピントがわざと意識的に向けられ、観客はそれを「映像である」となんども確信させられる。ある種の映像的異化効果。
すべてが映画の、映画への愛でした。
ヨミ

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