藍紺

ウエスト・サイド・ストーリーの藍紺のレビュー・感想・評価

3.9
配信もすぐ始まるみたいだしそれまでスルーしようと決めていたのに、フォロワーさん達のレビューみてたら映画館に足が向いてたw
過去作「ウエスト・サイド物語」は随分前に鑑賞済。

スティーヴン・スピルバーグ御大やっぱり凄いね……。旧作をある程度忠実に再現しつつ、自らが培ってきた映画撮影における技術と熱意の全てを込めてやるっていう意気込みが伝わってきた。オープニングから素晴らしい。ヤヌス・カミンスキーの魔術が遺憾なく発揮されている。再開発前の灰色のNYの街並みに光を当てた陰影の美しさ。建物だけでここまで魅せてくれるって本当に凄い。

ミュージカル映画ということでやっぱり見せ場のダンスシーン。私は「America」が一番好きだった。旧作では屋上での撮影だったものを今作ではNYの街のど真ん中で行なったことにより、より力強く躍動感あるシーンとなっていた。プエルトリコ移民であるシャーク団の男女の掛け合いが見事。アメリカの不満を愚痴りプライドばかり主張する男たちに対し、強くたくましく、時にはしたたかにアメリカで前向きに生きてゆこうと歌う女たち。この「したたかさ」が少しでも男たちにあれば、あのラストにはならなかっただろう。

リタ・モレノ演じるバレンティーナの歌う「somewhere」も心に残る。

ストーリーはたった二日間の出来事にも関わらず出会いから別れをぎゅうぎゅうに詰め込まなければならず、この点はかなり無理がある。元々の設定がこうだから仕方ないけど「えー、そうはならんやろー」とついていけない展開も多いのがネック。逆に脚本がトニー・クシュナーだからこそここまで観られる作品になったとも言えるのかな?

Disney+にこの作品のメイキング映像が配信されているのだけど、こちら見られる環境にある方には是非お薦めしたい!演者たちの想いが伝わる良いドキュメンタリーになっていた。特にスピルバーグの作品への愛がダダ洩れw 撮影中あまりに楽しくて妻であるケイト・キャプショーに「撮り終えたくない」てなことを口にしてたそう。

映画館で鑑賞してよかった作品です。
藍紺

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