akinaki

ウエスト・サイド・ストーリーのakinakiのレビュー・感想・評価

4.5
ミュージカル的シーケンスへの才覚は『インディージョーンズ魔宮の伝説』の冒頭シーンなどで既にその片鱗をしめしていたスピルバーグ監督だが、本作ではその能力を遺憾なく発揮。上空から物語の舞台をなめるように示しながら主要登場人物へのクロースアップへと移行するダイナミックな冒頭シーン、照明、逆光やVFXで限りなくロマンチックに描きながら、それ以外の人物がフレームに入った瞬間に通常モードにもどすことで情感と現実世界のギャップを現した出会いのシーン、多重層で繰り広げられるダンスシーンなど、そのひとつひとつに「若さ」のスピードと躍動感を感じさせる。ダンスパフォーマンスにおいても、特段「尖った表現」はないもののそのクオリティにスキがない。人種差別、貧困、階級闘争からLGBTまで現在に通する課題を示しながらも、あくまでもエンターテインメントとしてエンドクレジットまで見せつけた。古典の雰囲気はそのままに、最新機材やVFXを注ぎ込んで「語り」を刷新した点も評価。古典でありながら自身の作家性も維持出来たという点においても「リメイク」の教科書的作品となった。
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