mimi278

ウエスト・サイド・ストーリーのmimi278のレビュー・感想・評価

4.0
映画館で観たいと思っていた本作品。仕事の帰りに突然思い立って鑑賞。運良く映画の日。

スピルバーグがミュージカルを手掛けたと聞いて、あまりイメージが出来ないなと思っていたが、これでもかと言うくらい、オリジナル作品に忠実に仕上げられていた。
(オリジナルの細かな所までは覚えていないので、そこかしこに、現代版としてのスピルバーグなりの相違点が多々込められているのかとは思う。)

明らかな違いは、ドクの店の主人が女性になっていたこと。
ここに敢えて女性を持ってきたスピルバーグの意図は、オリジナル版の持つ、異民族や融合・融和、そして平等というテーマにもう一つ色を加えたというところだろう。
そしてその女主人を演じた俳優はオリジナル版のアニータ。なんとも心憎い演出。

そして1950年代のニューヨークの混沌とした状況をよくここまで描けたなと思うシーンがたくさん。ほぼセットなのだろうと思いつつも、映画が始まると同時に一気にタイムスリップが可能だ。
バーンスタインが手掛ける、今では有名過ぎる音楽もほぼ同じ。むしろ、より力強さを増したように感じた。

オリジナル版を観た当初は、ロミオとジュリエットの2人の物語を観た感覚だったが、本作品ではそれに加えて、背景となっている時代、政治、社会、生活、モラル、そういった環境のほうに意識が行く。
ニューヨークの一エリアの話、こんな小さな世界でも、出身国の違う移民達で殺し合いが生じるほど憎み合う。「他」への排除の意識と「自」への転換征服欲望の強さたるや。
まさにロシア・ウクライナ協議真っ只中にこれを観たこともあるが、日本にはあまり強く存在しないこの感覚を、ある意味しっかりと理解したい。
その上で、この時代の日本に生まれて今こうして平和に暮らせていることの意義や感謝を改めて心に根付かせたい。

そんなことを思いながら帰路に着いた。

先週観た同様の映画「クレッシェンド」のレビューは、本作品よりも表現が非常に難しい。ゆっくりと書いて投稿予定。
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