おさも

ウエスト・サイド・ストーリーのおさものレビュー・感想・評価

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冒頭スラム街取り壊されるシーンのところ、「この場所はリンカーン・センターになる」という意味のサインがあった。ジェントリフィケーションでできる文化施設の中で僕らが消費してる文化商品は、マイノリティを押し退けることで享受できるものになってないか、と言われているようで居心地の悪さを覚えるような仕掛けだなと思った。

あとは明らかに核武装による抑止を仄めかすシーンがあったり、ジェッツ団とシャーク団のテーマカラーになってる赤と青の対立はオリジナルの当時では共産主義vs資本主義、今のアメリカでは共和党vs民主党の対立を読むことができたり、社会や世界の中にある対立をかなり意識させられる。そういう意味でかなり政治的なメッセージが込められているのを感じた(オリジナルを未鑑賞なのでこれがどれくらい今回のスピルバーグ演出によるものなのかはわからないけれど)。
こういう対立がマチズモな、やぶれかぶれの男らしさを誇示するような両者の態度でエスカレートされていき、それの割を食うのがマリアとアニータであり、彼女らも対立させられる、という見せ方。これは奇しくも戦争が始まった後に観るタイミングではなおさら説得力が高まっているなぁと感じた。

とはいえマリア、アニータあたりがでてくるミュージカルのシーンは歌も踊りもキレキレでただ観て素晴らしい楽しいものだった。
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