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ウエスト・サイド・ストーリーのCOLORofCINEMAのレビュー・感想・評価

4.2
※Memo1
●カミンスキー撮影監督とKodakフィルム(しっかりエンドクレジットに)とBleach bypass(銀残し)でのハイコントラスト、抑えた彩度、ざらついた質感。そこから生み出されるミュージカルはリアリスティック。廃墟と煉瓦の壁、舞い上がる砂、塩。
スピルバーグ監督のリアリティに徹した上でのファンタジー描写は定番だと思うのだけれど、そう考えると『ウエスト・サイド・ストーリー』も、その延長線上(どころか、隠し要素含めると集大成の可能性すらある)ではないかと推測。当然、出会いのシーンも『未知との遭遇』ライティング。邪推かもしれないけれが、案外そうかもと思わせるラスト。
●最後に出る For dad が、すごく気になる。(おそらく今までなかった)スピルバーグ監督作品としても「あとで振り返るとあれは…」になるやもしれない。
●スピルバーグ監督『1941』本当はジルバ・コンテストシーンが撮りたかったから作ってたりして。(『ウエスト・サイド・ストーリー』"DANCE AT THE GYM"シークエンスで、ちょっと思い出した)
●トニー・クーシュナーの脚本を読んだ。
ラストシーンに書かれた廃墟に対しての表現が人によっては物議を醸し出しそうな気もするが、それは今後の検証評論を待つ。

※Memo2
メイキングブックのこと
●奥付に「West Side Story: The Making of the Steven Spielberg Film」を翻訳、再構成したものです。と書かれている通りパンフレットではない。メイキングブックだが前段階として書かれている”何故?スピルバーグ監督はこの作品を撮ったのか”についての経緯「LEGACY 受け継がれる魂」やキャラクター造形(もちろんコスチュームデザインも)、そしてリハーサルと詳細に写真とともに紹介されている。
後半、楽曲タイトルと共に実際のシークエンスごとのメイキングシーン。レイモンド・プラドによるストーリーボードが掲載されている。スピルバーグ監督が撮るとこう変わるのかということが垣間見ることができる。

●“SOMEWHERE”
「サムウェア」
スピバーグ監督とリタ・モレノのショット、そして書かれている内容。まさにアップデートされた本作の真髄がそこに。
ギレルモ・デル・トロ、エドガー・ライト両監督も(2月27日 twitterで)絶賛のダンスナンバー「ダンス・アット・ザ・ジム」ショット。メイキングブックに詳細が。書かれていることが多岐に及ぶ。振付ジャスティン・ペックがスピルバーグ監督のiPhoneを使ってリハ頭上撮影を行った話や撮影監督のヤヌス・カミンスキーは照明のこと、カメラの絞りのことなどに触れている(出演者全員が鮮明に映る必要があるため、F値は8とか11に合わせて撮影、他)

※Memo3
●秀逸なエンドタイトルデザイン(もちろんオリジナルのソールバス デザインをリスペクトしたもの)にアダム・ストックハウゼンと共にスピルバーグ監督の名前も。おそらく、ここにも本編から繋がるビジュアルイメージがあったと推測。
ちなみにアダム・ストックハウゼンは2014年『グランドブダペストホテル』でアカデミー美術賞を受賞した一人。プロダクションデザイナー。
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