西木寸

ウエスト・サイド・ストーリーの西木寸のレビュー・感想・評価

3.6
名作ミュージカルのスピルバーグ監督によるリメイク。
ミュージカルのパワフルで滑らかな演出をアップデートしながら、「若さ」のパワーと荒さを強調する画面の質感や、声質の演出は素晴らしい。

60年代を舞台にした、ロミオ&ジュリエットなんだけど、人種の壁(理解出来ない者との壁)と、社会システムの穴で生まれる貧困をベースにした、暴力から始まる悲劇の連鎖って、皮肉なもんで全然古臭く見えないんだよね...

冒頭の滑らかで荒いミュージカルシーンで捕まれたのに加え、「希望」と「不安」という相反する感情を並行で両方とも強調するミュージカル演出は流石スピルバーグと痺れた。
「amerlca」シーン含め、映像テンションとは異なった感情も持たせる魅せ方も流石!

一方で、人物や行動の実在感が表現し切れてないのが、残念。
特に、二人が惹かれ合う描写が余りに弱すぎないか。その説得力ありきの物語なので、そこに実在感を見出せないと苦しい。
また、若者の行動選択が、若さと社会の犠牲では説明仕切れない程、彼らの想像力の欠如が甚だしい。
西木寸

西木寸