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ウエスト・サイド・ストーリーのbebeのレビュー・感想・評価

4.2
ジュラシックパークシリーズの見過ぎで、スピルバーグ映画感をすごく感じた。カメラワークもカットも音も、ベリー、スピルバーグ。
ただスピルバーグのミュージカルは新鮮。構成はトム・フーパー監督版の『レミゼラブル』(2012)に似てるように感じた。

そもそもこれはシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をもとにした映画。人種・国籍・言語の差から争う2組の若者集団の「世界観戦争」的な闘争。これは結構そのまま世界の縮図で、こういう、相手を従わせて差異を潰そうとする考えが事の発端になる。そんな中恋に落ちる2人の「悲劇の恋」。
『ウエストサイドストーリー』自体、そもそも有名なので、そういう意味ではすごく劇的なアイロニーがある。観た人の中には結末を知ってる人も多かったのではないかなと思っているんだけどどうなんだろう??

もう一つ、アメリカ舞台、1950年代、移民、ナワバリ、人種、こうしたキーワードの起源にあるのが「西部開拓」、いわゆるフロンティア。特に冒頭〜中盤にかけて、男が武力で持って相手を蹂躙しようとする様は侵略戦争、女がNYの豊かさと明るい未来を信じて疑わないのは西部や太平洋、さらにその向こうの世界に夢を抱いた「アメリカンドリーム」そのもの。
ただ実際のところ、話はマンハッタンに限られるんだけれど、ストーリーやキーワードからはこのアメリカの伝統を切り離せないように思う。

最後、プロットに無理がある、との指摘が多かったのでその点について。
僕も直感的にはそう思ったんだけど、上述の時代観と各人が持ってた情報を整理して寄り添ってみれば、割合と解消される問題かなと思った。あくまで観客としていろんな人物のいろんなカットを見せてもらえてるので、そもそも作中人物と自分(観客)の持つ情報量に大きな隔たりがある事は念頭に置く方がいいかも。
それから恋愛パートが多いっていうのは悪いところじゃなくて、スピルバーグ版の特徴なんだと思う。
アメスパと一緒。アメスパシリーズほんと名作ですよね。
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