ソラ

ウエスト・サイド・ストーリーのソラのレビュー・感想・評価

4.0
ミュージカル映画の金字塔『ウエストサイド物語』を名匠スピルバーグが再映画化。
『ベイビードライバー』のアンセル・エルゴートと約3万人のオーディションから選ばれたレイチェル・ゼグラー(ディズニーオタクとしては白雪姫の件でワケあり物件)が、実際に歌い踊り、そして演じている。

50年代のアメリカ。マンハッタンの西部の荒廃した土地で繰り広げられるヨーロッパ系移民とプエルトリコ系移民の縄張り争いから始まる。
白人の中でも差別されているポーランド系移民のトニーと、プエルトリコ系移民集団のリーダーであるベルナルドの妹であるマリアとの恋愛の物語。

ロミオとジュリエットを下敷きにした映画であるため、大枠は境遇や言語が異なる者達のラブロマンスであり既視感はあった。
身内が殺されても愛し合えるような大きすぎる恋は、現代ではやや古臭い。だが、そこにロマンを感じずにはいられない。

主演の2人は勿論素晴らしいが、リフ役の
マイク・フェストの当時の髪型や監督からストップがかかる程の体の絞り具合、アニータ役のアリアナ・デボーズの情熱的なダンスに歌声、『ウエストサイド物語』でアニータ役を演じた御歳90歳のリタ・モレノの美しい歌声など、力のかけ具合がずば抜けている。

原作へのリスペクトを欠かしておらず、その上実際のプエルトリコ系の俳優をキャスティングすることで『ウエストサイド物語』の欠点を補っていくスピルバーグ&トニー・クシュナーの手腕に感服。

衣装、カメラ、ロケ地、ダンス、音楽等のどこをとっても文句の付け所がない洗練された作品である。
ソラ

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