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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのポチのレビュー・感想・評価

3.8
キャスト:3
演出:3
アクション:4
シナリオ:4
美術:4
音楽:2
編集:4
総合評価:3.8


もったいない。

ああ、もったいない。

実にもったいない作品。


今作品は、同名シリーズをリブートしたファンタジーアドベンチャー映画

原作はRPGゲーム


私はシリーズもゲームも未プレイなので完全な初見。


人気シリーズなだけあって流石よく完成された映画。

どたばたアドベンチャーとしてしっかりとした骨組みが出来ている。


しかし、もったいない惜しいところが散見する。

そこら辺を上手くやっていればパイレーツオブカリビアンみたいな

大人気映画シリーズになっていたはず。


今作は
主人公がスタートレックなど知られるクリス・パインと
ワイルドスピードシリーズのミシェル・ロドリゲス


結構豪華なキャストで人気原作シリーズとなれば大ヒット間違いなし

なのだけど、公開初日にも関わらずお客さんは数名でした


それはさておき、イマイチ日本での知名度がないキャストと作品ですが
何作も作られてきただけあって、シナリオの展開やアイテムの数や効果は
アクションアドベンチャーの醍醐味を抑えた素晴らしい設定。


色々ツッコミ要素はあるものの、チームで戦う設定や仲間が増えていくことで
物語の幅が広くなったり戦闘の面白さが増えていく。


こういうところはパイレーツオブカリビアン的な
仲間が増えたり裏切られたり笑いを挟みつつ飽きさせない展開力がある。


ただ、パイレーツと大きく違うのは
今作に全てを注力してしまっていることだ。

パイレーツシリーズは何作も制作された大人気シリーズだが、
今作はシリーズを1つに無理やり詰め込んでしまった。


予算が沢山かかっていることが分かる美術やセットの量や細かさ。

CGや戦闘の数の多さなど、とにかく飽きさせないための工夫があって

見応え十分の映像で楽しい。


しかし、序盤のナレーションベースですっ飛ばされる物語。

仲間になりました、敵になりました、今はこの状態ですを
ぎゅっとナレーションでやられると、ついて行くのも感情移入するのも難しい。


楽しいのは楽しいのだけど、主人公の悲しい過去を受け入れる時間が短すぎる。

そのせいで、ラストのカタルシスも、ラスボスへの怒りも薄い。


もったいないと思うのは、
頭の悪いキャラが多すぎてツッコミ役がいなくボケが自己回収になってしまっている。

その場に合わせて突っこんでくれるキャラはいるが、基本全員アホなのでイマイチ。


アイテムの設定がガバガバなのも気になるところ、
魔法の兜が厳重すぎるほど厳重にされているにも関わらず、
肝心の誰かを蘇生できるアイテムがそこら辺に置かれていて、
誰も使用せずに放置されているのもご都合すぎて笑ってしまう。


終盤の戦闘での解決方法が斜め上すぎることや、
ラスボスが全然強く見えないし、魔法が想像以上にしょぼかったり、

ドラゴン言ってる割にダサイのしか出てこなくてガッカリだったり、

爪の甘さはわざとなのか狙いなのかも分からない。


ストーリーが足早のためキャラへの思い入れが薄くラストシーンが響かない。

でも、ハチャメチャドタバタアドベンチャーとしては完成されている。


シリアス2:8笑い、こんな感じ。

もっとシリアス4:6笑いのパイレーツくらいのバランスだったら

もっと味わい深くて来年になっても忘れずに続編を期待したくなる完成度だったのでは、そう思ってしまった。


今作は少しシナリオがスキップしていてツッコミどころ満載でもったいない

でも、アドベンチャーとしての面白さを熟知していて抑えている

頭空っぽで楽しめる作品でした。

追記・音楽の役割が薄かったのが残念だった。
パイレーツ・オブ・カリビアンみたいな盛り上げてくれる定番になりそうな音楽あると奥深さ味わい深さに厚みが出た
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