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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのSQURのレビュー・感想・評価

4.0
D&Dはほぼ知らないけどTRPG自体は知っていたので、この映像の裏にはどういったテーブル上のやり取りがあるのかなと想像しながら観た。この鑑賞スタイルが正しかったのかは分からないけど。ただ普段TRPGっぽい映画に出会うことは多くても大義名分をもって穿った見方が許される映画はなかったので、初めての映画(?)ゲーム体験になったのは確かだ。

そんなふうに勘ぐりながら観ていると色々"TRPGっぽい"展開が用意されている。そしてその"TRPGっぽさ"が作劇上の面白さにも繋がりうるというのは意外な発見だった。一般的な筋書きを逸れ続けていくといったTRPGならではの柔軟なストーリー展開は、観客に意外性をもたらす。特に、中盤の宝物庫侵入作戦の柔軟さは如何にもTRPGっぽい話の展開だ。おそらくGMが期待した正規ルート(兜利用ルート)があり、それがダイスの女神の気まぐれによって頓挫したのだろう。プレイヤーたちの(つ、詰んだ…)と絶望する顔が目に見えるようだ。そしてそのあとの機転のきかせ方は素晴らしく、あのアイデアが出てきたときはGM含めその場の全員が興奮したことだろう。
また、悪役の背景、悪役と主人公の因縁などにほとんど焦点が当たらないところもTRPGぽい。TRPGにおいて動機づけは単純なら単純であるだけ良い。映画においても、因縁の掘り下げは物語の重厚感高める一方で煩わしい部分でもある。そのような煩雑なくだりをカットし、代わりにこの映画では主人公たちのキャラクター性を掘り下げることに注力している。この映画の豊かさはそういったTRPGならではの部分から生じているのだと感じた。

想像力に委ねられるのがTRPGの良さではあるが、やはり景色などのビジュアルイメージがあるとテンションが上がる。
特に大画面で映し出される質感たっぷりのファンタジー世界はどうしたってときめいてしまう。
TRPG用のVRワールドのアセットとかあったら嬉しいかも!と思った。ビジネスチャンスを見つけてしまったかもしれない。……実際VRゴーグルを全員がつけながら数時間のセッションをするハードルはかなり高そうだけど。
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