春とヒコーキ土岡哲朗

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

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気軽に見れて、ファンタジーとアクションは本格。

好きになるキャラクターばかり。最初の脱獄で、主人公たちが善人じゃないけど憎めないヤツらなのが分かって良い。審問官が「恩赦与えるつもりだったのに!」と言うところで、エドたちが極悪人ではないことと、必要のない脱獄に命をかけたマヌケなことも分かり、説明として良すぎる。

ドリックがずっとほぼ無表情なキャラだけど、それでも「嫌気がさした顔」「必死な顔」「心を許した顔」の演じ分けがあってすごい。調べたら『IT』の女の子だった。
クリス・パインは、良いおじさんのなり方をしていた。サイモンがウソップのようなぼくらの感情移入しどころ。自信は持てていないけど、愚か者扱いされたら「おれのこと知らないだろ」と怒ってひいひいじいさんの幻影を殴って、自尊心を得る。自信の出発点は自信じゃなく劣等感からの怒りでもいいんだ。
ヒュー・グラントは『パディントン2』同様のおしゃべりで軽薄な成金な悪役が似合う。強さとしてはサーイ族が後ろに真のボスとして鎮座することでシリアスさを保っていたが、実際にはヒュー・グラントが憎たらしい復讐の対象としてメインの悪役だった。

アクションや映像トリックが良い。特にミシェル・ロドリゲスが関わるシーンはかっこいい。鎧の兵隊たちを1人でなぎ倒していくシーンは、ちゃんとやられながらもねじ伏せていくところに、リアルな重量感があって気持ちいい。
ハエに変身したドリックが飾られている鎧の中に入って人間サイズになりそのまま鎧を着て歩くのも、不思議なのに当たり前のようにテンポよく進んでいくのがクール。
絵画にワープ窓を作って潜入していくところは、泥棒映画の見せ方だった。最後の『インフィニティ・ウォー』的一斉攻撃の興奮と、時間停止魔法にやられたフリをして普通に喋り出す痛快な勝利。アウトローのファンタジーバトルを存分に楽しめた。

ジェネリック・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー。
ガーディアンズとアベンジャーズのノリでいい。エドがスターロードみたいなキャラで、ならず者の集まりなのがガーディアンズっぽいなと思っていたら、後半に差し掛かった辺りのエドの演説がもろにガーディアンズ1作目のスターロードっぽかった。自分たちはダメ人間だけど逃げずに今日変わるんだ、みたいな主旨で仲間たちに演説する。
ドリックの見た目が赤毛で黒いレザーっぽい服でブラックウィドウ感がすごい。終盤、4人で敵に一斉に攻撃するところは、『インフィニティ・ウォー』のタイタンでのサノス戦を参考にしてるのが確実で、ちゃんとかっこよかった。でも、最後にアウルベアが敵をボコボコにするのは、あまりにも『アベンジャーズ』でハルクがロキをボコボコにするのと一緒すぎた。露骨すぎて笑ってしまったけど、せっかく面白い映画なんだから、そこまでマーベルをなぞらなくていいのにと思う。