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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのmalのレビュー・感想・評価

5.0
まさに冒険活劇。とても面白かったです。ゲーム『ダンジョン&ドラゴンズ』を知らなくても楽しめますし、実際は私はよくわかってないで見ました。『ロード・オブ・ザ・リング』とか『ゲーム・オブ・スローンズ』とかそんな感じの舞台だとふんわり思っていればいいんだと思います。獣みたいな姿の人間や獣要素がある人間もいたり、悪いやつもいいやついて、という感じの混沌とした世界観。基本的に雰囲気はユルユルでコメディ調、倫理観もまあまあ低め。『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』のノリと似てるので、それが楽しめた人はこれも絶対楽しめるはず。原作ゲームのことを知らなくてもいいけど、知ってるともっと面白いといんだろうなというのはネットに転がっている他の方のレビューを読んで感じられました。想像以上にこの映画はゲームへのリスペクトが強いです。また、物語として無駄な要素があまりなく、この道具があそこで使われたり、その設定がここで生きたりなど、雰囲気はB級チックでありながら隙のない映画だと思いました。シングルファーザーや恋愛なしの男女の友情、専業主夫(?)など現代っぽい要素も嫌味なく取り入れられていているのも良かったです。

キャラクター造形もよくて、全員基本ポンコツなんだけど必死になってなんとかしようとする姿が熱い!特にセクシー&お助け担当のゼンクがお気に入り。アクションやモンスター、ギミックも秀逸で、目新しい要素はあんまりなくても一つ一つにチープさがなく、しっかりしている。と言いつつ、ドリックが次々に動物に姿をかえる逃亡シーンは新鮮味もあってかなり楽しかったです。

主人公たち一行は世間で言えば敗北者と言われていて、実際、自分たちもその自覚があるし、劇中でも何度も失敗しているけど、挑戦し続けている勇気と行動力には勇気づられます。試してうまくいかないと思っても、実はそれが大切なことだったり、経験となってあとに繋がったりして、失敗し続ける大切さがわかります。説教臭さ一切なく、それを思わせてくれるのはすごいですよ。個人的な話をすると、「時間の無駄」「意味がない」という言葉が私はあまり好きじゃなくて、人生の時間の無駄、意味っていうのは何を基準に言っているのかというのが思うし、勝ち負けもどの基準で見るのかと。結局死ぬまで(死んでも)その答えはわからないだろうし、今の価値観だけでそう判断するにはあまりにも近視眼的なのではないかなと思うわけです。結局、考え方次第なんだと思います。ある目標に対して遠回りしたって大きな視点で見たら何かに繋がるだろうし、そこにかけた時間や思い、それが人生を作っていくと思うんですよね。そんなことをこの映画を見終わったあとに感じました。
日本語吹き替えで「黒歴史」の言葉が出てきて、だいぶ人口に膾炙したんだなぁ…。ドリックの声優は本業ではなく、そこそこの棒読みなんですが彼女の雰囲気とマッチしていて嫌いじゃなかったです。
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