よしまる

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのよしまるのレビュー・感想・評価

3.3
2023年洋画ランキングに戻ります。21位はこちら。
「ダンジョンズ&ドラゴンズ」。世界初と言われるテーブルトークロールプレイングゲーム。
友人が英語版を買ってきて、必死で翻訳しながらプレイしたのはもう40年近く前のことだ。

世の中にドラゴンクエストもファイナルファンタジーも無く、いわゆる異世界もの、ファンタジーと言えば指輪物語の小説とか、ハリーハウゼンの映画くらいしか触れることが出来ず、ホワイトメタルというフィギュアを買って、それを駒にしてプレイをしていた。
そのときの想像力フル回転と言えばそれはそれは凄まじいもので笑笑、「キメラが出た」「ドワーフに捕まった」「ドラゴンの卵がある」なんてゲームマスターが呟くだけで頭の中には異世界が広がり戦々恐々とした。
テレビゲームと異なり、2択や3択で進むのではなく、あらゆることを自由にできる(とは言ってもすべてはマスターのシナリオという掌の上で右往左往するわけだが)のも魅力的だった。

そんなゲームの映画化なのだけれど、映画の予告編はなぜかコメディタッチでガチャ感がすごい。
つまりは僕たちがプレイしていたD&Dとは全然違う世界なのだ。

と、いう理由から劇場はスルーして配信にて鑑賞。結果、個人的にはそれで正解だった。

話はシンプルで分かりやすく奇を衒うところがひとつもない。映像はソツがなく、最近大活躍のローンバルフェの劇伴もいい。
役者はワンダーウーマンのクリスパインにヒューグラントと絶妙に濃ゆくて軽快なテンポはさすがと唸らされる。

ただ思った以上にコメディに全振りしていて、異世界における種族間の性格分けや、モンスターたちの特性が活かされたとは言い難い。
ドラゴンが出てくるなんていうのは、もう超絶クライマックスで身の毛もよだつ戦慄の瞬間であるべきなのに、そこまでギャグぶち込んでくるのかよと(面白いんだけどね)。
キャラクターたちもビジュアル的には工夫されて楽しいものの、ではすぐ次作が楽しみかと言われるとそこまで肩入れしたくなるほどでもない。ヒューグラントの悪役に限っては何度でも観てみたいけれど笑

ゲームのD&Dが盛んに遊ばれた頃の
映画と言えばコナンザグレートやダーククリスタル、ネバーエンディングストーリーとか、日本ならロードス島戦記や聖戦士ダンバインなど、基本的にはシリアスなファンタジー物が多かった。
いまでは異世界ものはギャグやラブコメの主要ジャンルとなっているのでこの作風に違和感があるわけではないけれど、「ダンジョンズ&ドラゴンズ」と銘打つ以上は、もう少しロマンに満ちた、剣と魔法の冒険世界の王道を行ってほしかった。

ま、年寄りの戯言ですね😩