すずき

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇りのすずきのレビュー・感想・評価

4.7
様々な種族が住む、剣と魔法の幻想世界。
世界の平和を守る秘密組織「ハーパー」の一員であるエドガン。
だが、ハーパーと敵対する闇の組織の赤魔道士に妻を殺されてしまう。
エドガンは一人娘キーラを育てる為、ハーパーを辞め、盗賊として生きる道を選ぶ。
ある日、死んだ人を一度だけ甦らせる事が出来る魔法の石板の情報を聞き、妻を甦らせる為に、仲間たちと共に盗みに入るが逃亡に失敗、逮捕される。
2年後に脱獄したエドガンは、娘と石板を預けた仲間であるフォージの元へと向かう。
だが領主となっていたフォージはエドガンを裏切り、彼を当局に通報する。
更にキーラは父親を憎むよう、フォージに嘘を教えられていた。
エドガンは再び仲間を集め、フォージの元から娘と石板を取り返す計画を立てる…

アメリカのオタクなら皆知ってる、古典テーブルトークRPG、「D&D」の実写映画。
剣と魔法の冒険世界に、コメディとケイパーをミックスした本作は、言うなればファンタジー版「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」。
クリス・パイン演じる、イケメンだが3枚目の主人公もスターロードみがあるし。
負け組のはみ出し者達が集まって、一発逆転の大勝負に出る点も共通している。

「GotG」インスパイアの本作に、目新しさは無い。
けれど、メッチャ面白かった!娯楽作品では面白さのステータスは最重要です。
…最近、「ヴァチカンのエクソシスト」のレビューでも同じ事を書いた気がする。
どちらも2023年の話題作で、こちらも気になってはいたのだけれど、日本吹替版の予告編が酷過ぎて劇場鑑賞見送りにしました。
ちょっとブチギレたくなるほど酷い予告だったので後悔はしていない。
でも、もし劇場で見ていたら2023年の個人的ランキングでは「ジョン・ウィック4」とトップを争っていただろう。

何より良かったのは、やはりキャラクター!
主人公エドガンも前述の通り、3枚目系のイケメンで好きなタイプ。
アニメ「カウボーイ・ビバップ」のスパイクとか、この手のキャラの山寺宏一ボイスが好きなんだけど、エドガンの吹替は武内駿輔。
若いのに演技が上手くって、彼もハマってました。

それから主人公の相棒である、バーバリアンの女戦士ホルガ!
演じるのは、タレ目と筋肉と腋毛がチャームポイント?な頼れる女、ミシェル・ロドリゲス姐御だッ!絶対に強いィィッ!説明不要ッ!
吹替もベテラン甲斐田裕子だッ!
ホルガのエドガンの関係も良くって、彼女は母親無きキーラを、エドガンと共に育てた擬似夫婦とも言える関係。
だけどそこに恋愛感情みたいなのは無く、…つまりは家族、なのかな。
ケリー・ライカート監督の「ファースト・カウ」見てから、「セックスとは違う意味での愛情で結ばれたパートナー」という関係にハマってます。

そして赤髪巻毛のツノ付き自然派美少女ドルイドのドリック!
動物に変身できる能力は便利だし、何より可愛い!
演じてるのはソフィア・リリスという、これまた素敵な名前の女優。
日本語吹替は声優ではなくて、モデル出身の女優が担当してるけれど、これが中々、悪くない。
ノリのきついオッサン達であるエドガンと違って、ちょっと冷めた今風の子、って感じ。

あと煌びやかな鎧と聖なる剣を携えた、クソ真面目パラディンのゼンクもカッコいい!
白黒ハーフの役者は、ともすればエキゾチックな雰囲気のキャラになりがちだけど、普通に正統派2枚目の雰囲気を漂わせている。
声が中村悠一のイケボなのもあるけれど、役者本人が普通にイケメンだ。
ゼンデイヤとか、白黒いい所取りのハーフの人、結構好きかも。

あとは魔術師修行中のサイモンは…うん、潜在能力はあるよね!
いや実際、あの世界のチートスキルである魔法を実用レベルで使えるだけで、相当有能優秀なんだろうけどさ。
吹替は木村昴!
これまた若いのに実力は折り紙付きで、安心して聞ける吹替。

キャラクター以外の良かった所は、世界観を見せる事へのサービス精神が過ぎる所!
ロケーションも、雪国の監獄・穏やかな農村地帯・死者の眠る墓地・領主が支配する都市部・コロシアム・そして恐ろしい地下世界と、様々な場所を冒険する。
そこには不思議な魔法やマジックアイテム、幻獣や魔物、そしてダンジョンとドラゴンが待っている!
幻想世界を堪能出来る本作、個人的にファンタジー映画の中でも1番好きかも!