ひかり

キャッツのひかりのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
2.5
ストーリーについてはほぼ原作舞台通りなので割愛。

顔や手が人間のせいで、どう頑張っても全身タイツを着た人間にしか見えない。のに、大きさがちゃんと猫サイズで、線路の上で踊ったりしてるのを見ると非常にグロテスクな感じに見える。猫というか、人間の出来損ない的な…とにかく見てはいけないものを見ているような感じを受ける。
かなり見た目は人間よりなのに、猫っぽい動きをするのもきつい。舞台で見たときはそんなこと思わなかったけど(多分もっと猫っぽいメイクのせいだと思うけど)、変な猫のメイクをした人間が猫のように顔を擦り合わせてみたり、地面を転がったり、這いつくばってゴミを漁ったりするのを見るのは正直に言ってあまり気持ちいいものじゃない。あと同様に全身タイツを着た人間で表されたネズミやゴキブリも出てくるんだけど、それもちっとも可愛くなくてちょっと…だった。

また多分トム・フーパーは、リアリティを追求したいわけではなくて、「舞台美術っぽさ」を目指したんだろうけれど、小物が結構チープな感じに見える。
それから、キャラクターの見た目以外だとここが一番気になったんだけど、せっかく映画版にしてるのに映画でしかできないような特別なカメラワークや華麗なCGとかがほとんどない。(むしろCGは全体的にしょぼめだと思った) 背景が寂しいって言ってた人がいたけどその通りだと思う。
そして背景が最初に出てくる路上かホテルかしかないせいで、途中でかなり飽きてくる。歌だけがどんどん変わるなか、同じ場面を延々に見ている感じ…この「場面が廃ホテルからずっと変わらない」っていうのは、舞台として演じるのであれば大道具とか背景チェンジが少なくてむしろ利点なんだろうけど、それにしたって舞台とまるきり同じものを見せるのでは映画にした意味があまりにもないのではと思う。

歌はもちろん良かった、でもそれは舞台キャッツの歌がいいというだけなので、全体的に「映画化して良かった!!」と言える点が全然ない。

イドリス・エルバとテイラー・スイフトが出てきたシーンではかなり会場笑ってました。感動を求めて見に行くとかなり苦しい思いをすると思うけど、笑えることはまぁ笑えます。前述したようにウッ…となるシーンも多いですが。
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