ニニ

キャッツのニニのレビュー・感想・評価

キャッツ(2019年製作の映画)
2.0
劇団四季版のミュージカルが大好きで何度も劇場に足を運んでいるファンです。
この映画は……個人的には期待外れでした。

既存のCATSファンの中でのこの映画に対する評価は各人がCATSに何を期待しているかによると思うのだけど、私の場合はダンスで。
寄り過ぎ、引き過ぎ、足元切れてる…!の連続で、忙しないばかりのカット割りといい群舞が致命的に楽しくなかった。
身体にデジタルコスチュームを着せるプロセスで仕方ないのかもしれないけれどダンスにもCG加工が響いているように見え、一流のダンサーを集めた意味とは…?と思ってしまう。
逆に言うとダンスシーンのカメラワークがもう少しどうにかなってたらもっと好きだったかも。

監督も子供時代からのCATSファンだそうだし、キリスト教的側面への理解度も私とは段違いだろうし、何よりALW卿が満足されているならそれが正解だと思うのでこの映画を否定したいわけではないです。
ジェニエニドッツとバストファージョーンズの生々しくて汚ならしい描写には悪意を感じたけどブリティッシュジョークなんですかね。

音楽は文句なしに良かった。新曲のBeautiful Ghostも名曲だった。フランチェスカヘイワードさんは歌声も魅力的で天は二物も三物も与えるのだなぁ。
ただグリザベラのメモリーに続いてヴィクトリアが歌うシーンについてはヴィクトリアがグリザベラを食ってしまっていて、そんなのアリ??と悩んでしまった。
Web上のどなたかのレビューで「ヴィクトリアの一声で物語は進むのでラムタムタガーからもマンカストラップからも役割を奪っている」という主旨の一文を読み膝を打ったのだけど、やっぱり誰か1匹を主人公に据えた時点でそれは私の中のCATSではないのだなぁ。
映画版において私達人間は猫達vsヴィクトリアという構図を外から見ている傍観者ですが、舞台版は猫達vs観客でCATSの世界にどっぷり引き込まれる没入感がクセになるのでこの映画だけを見て舞台版を敬遠する人が出たら勿体ないですよとだけ言っておきたい。

【良かったところ】
・Overture
・優しくないけど格好良く描かれてたマンぺル
・ミストフェリーズかわゆい。特に猫からのご挨拶で帽子を脱いだ時の頭頂部がかわゆくて良い仕事
・テムズ川に架かる鉄橋の上でのタップ
・誰に何を言われようとSirイアンマッケランにこの映画に出たことを後悔させてないならそれでもう勝ちな気がする。そんな気持ちになるガスナンだった。ただ酒場でペロペロしてるシーンだけはイアンマッケランに何てことさせるんだと思った。


《シアター1》
ニニ

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