スカーレット・ヨハンソン観たさに本作を鑑賞。
"マッチポイント"
誰もが知っている、試合の勝敗を決める最後のポイントのこと。
冒頭のネット上のボールの映像。
どちらに落ちるのか…
わかり易く上手い表現だ。
人生には運は付きもの。
それは間違いない事だと思う。
皮肉な事に、積み上げた努力を嘲笑うかのような、“運”という存在。
正義が必ず勝つとは限らない、この世の中の不条理。
この映画を観て“太陽がいっぱい”を思い出した。
貧しい青年が、同じ年格好の裕福な青年を殺害し人生を乗っ取る。誰もが完全犯罪に終わると思ったラストシーンでの衝撃。
本作の私の予想もそうだった。
悪運尽き果て最後には…
この映画の主人公クリスが貧しい育ちから一流プロテニスプレイヤーに這い上がれたのは、良き指導者に出逢えた事や他にも何らかの運もあるのだろうが、才能とひたむきな努力が確かにあったに違いない。
だがその先のゲスっぷりが…
“愛”と“愛欲”を堂々と説く。
旧知の仲間に道端で出会った時には、
声高に恥ずかしげもなく玉の輿を並べ立て、
自らこう言う。
“人生はまるでネット上のボールだよ”
義兄の婚約者ノラ(スカーレット・ヨハンソン)に執拗につきまとう。
その上、ピンチの度、徹底した幸運ぶり。
ネット上のボールは総て相手コートに…
…?
ちょっと安っぽくないか…(゜o゜)
はっきり言って、ストーリー自体は安っぽさは否めない。
だが張り巡らせた伏線の数々、劇中の端々に“運”を散りばめ、徹底的な皮肉(金持上流階級含め)、ドストエフスキーの「罪と罰」、予想を裏切るラスト、そして何と言ってもキャストの良さ!
とりわけスカーレット・ヨハンソンの魅力が強烈だ。
セクシーな美貌はもとより、本能に正直な生き様と激情を爆発させる演技は圧巻だ。
見えそうで見えない、裸は見せなくても、表情、仕草は官能そのもの。
強烈な個性を放つ女優さんだとあらためて驚いた。
脇を固める役者も素晴らしい。
安っぽいストーリーの筈が、全く飽きさせず惹き付けられる。
これがウッディアレンの凄さなのか!
実は初めてのウッディアレン監督作品。
皮肉や哲学がちょっと…と観もしないうちから先入観で何となく敬遠していたのを大いに反省。
やっぱり食わず嫌いは駄目ですね。
他の作品も観てみようと思う。
スカヨハさん有難う!
※映画では徹底的に運を味方につけた主人公だが、その後死ぬまで運を掴み続けられるのか。いつ運に見放されるか、不安がつきまとう。ましてや犯した罪を隠し、罰から逃げ続けなければならない孤独な人生にゾッとする。