幕のリア

動脈列島の幕のリアのレビュー・感想・評価

動脈列島(1975年製作の映画)
3.2
新文芸坐・梶芽衣子特集。
場外馬券場かと見紛うようないイイ顔したオヤジ多数。
ここで注意しなくてはならないのはトイレ事情。
通常の商業施設なら女子トイレに行列が見られるものだが、頻尿の爺様が多く、上映直後の男子トイレには注意が必要。

本日の二本は増村保造監督作品。

新幹線の騒音問題で苦しむ老婆の死から義憤を爆発させる近藤正臣演ずるインターン医師と田宮二郎演ずるエリート捜査官の対決を描く社会派エンタメ作品。
『スピード』の元ネタと言われる『新幹線大爆破』が東映作品として公開されるのに対抗して東宝が配したのが本作。
監督始め旧大映のメンツが散見。

田宮二郎の一点の曇りないスーパースターぶり。
近藤正臣の色気。
関根恵子の隠し切れないエロスと穢れ。
梶芽衣子の危うさ。
脇役陣も実に豪華で見るに飽きない。

少ないデータから謎の霊感山勘第六感でプロファイリングをビシバシ的中させていく田宮二郎。
あまりにリアリティのないダンディズムの見事さは天晴れ。

ご都合主義には目を瞑って70年代日本を満喫することにした。
増村保造らしさは見られないが潤沢な予算と撮るべき画が山盛りに用意されていたのでは、らしさを出す余裕もなかったのかもしれない。

〜〜

騒音といえば、映画館でのノイズ問題は我々の永遠の課題だ。
映画開始後、遅れて入場してきた爺様が一つ隣のおっさんがドッカと隣席に置いた鞄に目もくれず隣に着席。
嫌な予感がしたが、案の定声を出してアクビしたりため息ついたりペチャリと不快な音を立てたり、やがて居眠りで軽いイビキ。
そのまま永眠してくれたら良かったのだが、劇中の新幹線の轟音に律儀に反応して起床。
再びウワーと欠伸をしたところで、私の心のニトログリセリンが暴発。
最低限の節度で軽く合図をし、シーッと指を立てたところ、爺様が激昂。
"アクビくらい仕方なかろうー、気分悪い!"
と吠え始めた。
渾身の殺人光線を目から放ったところ、落ち着いてくれて事なきを得ましたとさ。

期待して乗り込んだ増村二本立てに暗雲立ち込め、二本目へ。

2018劇場鑑賞56本目
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