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THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~のolnのレビュー・感想・評価

3.7
青春には お金がかかる

麻雀に明け暮れる母と生活を共にする女子高生・ペイ。
親友・ジョーと計画した日本旅行を実現させるため、16歳の誕生日を機にバイトを始めますが、雀の涙程度の時給。これでは予定した旅程に間に合わないと、半ば諦めの念が過ります。

ジョーに誘われ学校を抜け出して参加した、ジョーの彼氏・ハオが主催する船上パーティーで、薬物の運び屋と顔見知りに。通称・眼鏡が検問に引っかかる現場に居合せ、状況を理解できないまま片棒を担がされますが、成功報酬に目が眩み、自ら闇の中へと身を投じていきます。

大切なのは親友か、金か、恋愛か、家族か。
リュックには夢を詰め込んで、iPhoneにはパケを詰め込んで。




感想です。

香港旅行ムービーでした。
判りやすいドラッグ映画というわけではなく、あくまで薬物を人知れず運んでいる女子高生が理解している範囲での出来事を描きます。

運び屋組織のボス・ホアと、ペイの母親が興じる麻雀に対するペイの反応が正反対なのも象徴的でした。如何にも反抗期の娘という感じで、母親の麻雀には無関心だけど、悪い大人の行いには興味津々。私もこういう年頃に、悪いことに興味を持ったから変な知識が増えたクチなので、うわ〜と思いながら鑑賞しました。

ペイが日本に行きたい理由が、なんだか不思議でした。
「”冷たい”を知りたい」言われてみれば、香港は沖縄より南にありますから、年中暖かい気候のようです。
運んでいるものを暗喩しているのだとすれば、覚醒剤ってことでしょうか。

泳げないペイ、飼育されているサメ、海に放ったのは自分の心だったのかもしれません。
反抗期の終わり、いろんな関係の終わり、人は離れ、また誰かに出逢います。

どこかの過激派みたいにiPhoneを巻き付けるシーンと、山から見下ろす香港が印象的でした。
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