にくそん

THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~のにくそんのレビュー・感想・評価

3.4
母子家庭の高校生が、香港から深センへスマホを密輸する危険なアルバイトに手を染める話。友達とクリスマスに北海道へ旅行するための費用作りという目的がいちおうあるんだけど、お金を使わないと楽しく遊べないと思い込んでいるのがせつなかった。高校生でクリスマスに海外旅行しない(できない)ことは本来、特に不幸なことでも何でもない。家庭の経済事情に劣等感があるから妙にこだわってしまうんだろう。

友達と二人で何かしでかす話かと思ったら、あくどい大人が組織する犯罪チームの末端に少女ひとり取り込まれる話で、ちょっと調子が狂った。友情がまたずいぶん脆くて、そこらへんに見どころを求めていたので、わりと後ろ重心で鑑賞してしまったかも。

友達の彼氏との淡い恋は思ったより軽率でない描き方で好感を持つ。彼の性格や言動も含め、全体にもっと悲惨だったり過酷だったりする展開にもできたと思うけど、あえて低刺激に作ってあって、見て嫌な気持ちにはならない。

食べ物がやけに美味しそうだった。運び屋グループの事務所で出てくるご飯、メンバーは「卵が古い」とか「きゅうりが悪くなってる」とか言うんだけど、見た目とても食欲をそそられる。さすが広東省。
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