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THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~のNOBUのレビュー・感想・評価

3.8
自分にとっては同世代の女性監督の作品である。
中国本土と香港を行き来する女学生の話ではあるが、邦題が原題に近い「過ぎた春」から「香港と大陸をまたぐ少女」と変えられた所に、日本でははなかなかこの設定の現実が理解されにくい節があったとは思う。

映画のストーリーは中国の深センから毎日国境を越えて香港で学ぶ女子高生とその友人、そしてその友人の彼氏という三角関係を軸に描かれたオーソドックスなものではあるが、この映画の良さが表れているのは、そのストーリーに香港と隣接する中国本土の社会の歪みを青年少女の視点から描き出している点であろう。

また若手監督で若手俳優がメインで演じていることからかなりフレッシュな作風になっている。

制作費がわずか1000万元でここまでクオリティーの高い作品を生み出したことは監督の手腕であろう。
中国からの視点で今の香港の汚れた世界が巧く描かれている点が大変素晴らしいと思う。

ヒロインを演じた黄堯(ホアン・ヤオ)がどこかで見たことあるなと思っていたら、同じ母校であったことが個人的には驚きである。
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