キットカットガール

きみと、波にのれたらのキットカットガールのネタバレレビュー・内容・結末

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

✳︎完成披露舞台挨拶にて✳︎

私は一体全体何を見せられているのだろう?と終始苦笑い。ほぼ歌と主人公2人のイチャイチャシーン。笑 全体的に甘過ぎて、そして設定が奇々怪界過ぎて感情移入出来なかった。(可燃物である)大きな樹木の脇で花火をあげたりと、話の持って行き方に無理くり感もあった。ファンタジーなんだけれど、ちょっと変態チックというか、水の中に恋人が現れる設定はぶっ飛んでいた気がする。笑 ちょっと引いてしまった。加えて、これでもか!という程、歌、歌、歌。恐らく台詞の5割は歌ではないかと思う。本作の主題歌であり、挿入歌でもある一曲(主人公ひな子と港の思い出の曲:「Brand New Story」GENERATIONS from EXILE TRIBE)は本当に100回近く流れた気がする。笑 その為、帰り道ではつい口ずさんでしまった。ただ、あくまでも個人的な意見だけれど、GENERATIONSの楽曲はアニメーションには現代的過ぎると感じた。世界観と合ってない気がして、少し浮いていた。個々としては良いと思う。

とはいえ、イチャイチャシーンと歌のイメージが強烈だったけれど、きちんとテーマは伝わってきた。自分なんて何もしていない、何も出来ない、そう思っていても気付かない所で何気ない言動が誰かを救っているのかもしれない。皆んな誰かに密かに救われている。大きな事が出来なくても、自分らしく人の役に立てばそれでいい。そんな風に励まされている気持ちになった。

そして、湯浅監督と言えば、独特の映像表現。相変わらず今回も素敵だった。テーマが水という事もあって前作の『夜明け告げるルーのうた』を若干引きずっている感じも否めなかったけれど、前作よりポニョ感は無くなっていて良かった。笑 海の波や海中の描き方も印象的だったけれど、個人的には光の屈折でぐにゃんぐにゃんと歪むコップの中身の描き方。カラフルで鮮やかな色彩が生きているみたいに動く。よく覚えている。さらに、水の中から見た外の世界だったり、自転車に乗ったひな子を真下から描いたり、床目線の積み重なったダンボールの姿だったり...、流石アングルの鬼だなぁと、監督の作品を観ている実感が湧いた。

アニメーションの肝となる吹き替えに関しては、うーんの一言。
まず、主役の港役を務めた片寄涼太さん、今回声優初体験という事で若干棒読み感があったのは仕方ないけれど、声質がとにかく軽く、インパクトがなかった。地味だった(ごめんなさい)。
同じく主役のひな子を演じた川栄李奈さん、主要4人の中で一番上手だった。やっぱり何度も声優経験があるからか聞いていて違和感がなかった。吹き替え向きの声質でキャラクターのビジュアルにもマッチしており、抑揚もあり、感情も乗っていた。そして何と言っても、イメージを具現化するのが上手い。表現力が豊かで、指示を形にするのが得意なのかなと思った。ただ、ちょっと歌が...だった(素人がすみません)。
港の妹:洋子役の松本穂香さん、声がとても好きだった。アニメーション向きの声質。でも、慣れていないせいかキャラクターの動きとシンクロしていない印象を受けた。声だけオーバーだった。
最後は港の後輩:山葵役の伊藤健太郎さん、何だろう、とてもぎこちなさを感じた。絵と合っていない気もした。(ごめんなさい)

上文の通り、本作の評価はあまりポジティブではなく、実質的には3.0なのが正直なところ。ただ一つ、あまりにも感動した点があった為+0.3し、3.3にした。
その理由は本作の舞台が千葉県だった事。笑 生まれも育ちも千葉県、生粋の千葉県民として本当に本当に嬉しかった。一番の感動は「千葉ポートタワー」。あの結構地味で、知名度もそれほど高くないポートタワーが(すみません)まさか登場するとは。建物の入り口、エレベーター、展望台からの景色、夜景、展望フロアにある”天使の羽”イルミネーションと”愛の南京錠”、どれもこれもそのまんま。昔の思い出が蘇った。そして他にも、葛西臨海水族園や江川海岸など、海にまつわる千葉のスポットが多数登場した。本当に嬉しかった。本作を機に、聖地として「千葉ポートタワー」流行ったら良いと密かに願った。笑 まぁこういう訳で0.3加点した。