ウマノホネ

きみと、波にのれたらのウマノホネのレビュー・感想・評価

きみと、波にのれたら(2019年製作の映画)
3.2
劇中のふたり(港 と ひなた)には申し訳ないのですが(笑)、
作品の意図として、この二人の「別れ」が前提にあって、
その"波"を乗り越えていく、という物語仕掛けになっています。

港とひなたの(二回目の)出逢いから、
劇中でも言われていた通り「爆発しろ」と呆れてしまうほどのリア充さが満々です。
それが「お幸せにー」と呪(取り消し)祝福できるうちは幸福感が伝わってくるのですが、
別れ(死別)からより一層ロマンチックに描かれていく辺り、
どんどんとイタイタしくなっていきます。

それこそが意図的だと感じたのは、
水中の港とひなたが踊るように泳ぐ場面。
湯浅監督のアニメーション表現として描かれたラブシーンなんですが、
一方で自分への慰め行為であるようにも見なされてしまいそう。

また、当人同士でしか分かり合えない共有感覚というのは、脚本の吉田玲子の他の作品でも感じるところです。

ただし、その気持ち悪さが、最後には私の中で消化することができたのが心地よかった。

港の「ひなこが一人で波にのれるまで」という暗示ともとれる台詞も、
ひなこの「これからいろんな波にのってやる」というような前向きな言葉も、
ここが着地点!という明るい終わり方。

思えば私も♪きみが~ と口ずさんでしまっている!?笑

ちなみに鑑賞した7月3日は『波の日』だったそうです♪