映画好きの柴犬

SHADOW/影武者の映画好きの柴犬のレビュー・感想・評価

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)
3.8
朱に交われば赤くなる

 権力に固執する王と臣下の人望を集める将軍都督(ダン・チャオ)の権力争いに巻き込まれる都督の影武者(ダン・チャオ)の生き様と変遷を描く武侠アクション時代劇

 降り続く雨の中、人肌以外は全て白黒の寒々しい世界で静かに繰り広げられる権謀術策と愛憎劇。アクションシーンは多くはないが、様式美で魅せる。前作「グレートウォール」とは打って変わったチャン・イーモウ監督の美学が満たす世界観が見事。

 都督の忠実な影武者だった男が、都督の妻シャオアイ(スン・リー)への想いを秘めながら、駆け引きと命がけの戦いの中で、徐々に変容していく。結果、本来の彼が最も望んだものを失い、最も望まないものを得る。シャオアイの表情が語るその結末が余韻深い。