映画武士道

SHADOW/影武者の映画武士道のレビュー・感想・評価

SHADOW/影武者(2018年製作の映画)
3.8
巨匠チャン・イーモウ監督作品。
まあまあ面白かった。
中国のシェークスピアといった感じのドロドロした権力闘争劇を描いた作品です。
中国と言えば時代劇それも陰謀劇は基本レベルが高いです。
なぜなら中国史は陰謀渦巻く恐ろしい世界なので元ネタがいっぱいありますからね!

三国志の荊州争奪戦が元ネタになってる?みたいな話です。
都督が出てきますけど呉の水軍大都督の周瑜でしょうか?
都督は武芸も策略も国一番でしかも音楽に詳しい・・・
周瑜に設定が似てますね。周瑜は音楽に詳しかったのでも有名ですからね。
でもそうなると相手は劉備陣営ですかね?
劉備陣営で荊州を守っていた関羽でしょうか?



という疑問はさておいて。
一応舞台は沛国という架空の国が舞台です。
主人公はその国の都督という国一番の名将(武芸でも策略でも国一番の名将)の影武者。
本来は都督が頑張るはずのとこだったんですが1年前に敵国最強の名将楊蒼と戦い、一生治らない的な傷(特殊な武芸による傷なので治らない)を負わされ廃人みたいになっちゃってます。(廃人みたいになってるとはいえめちゃくちゃ強い。主人公並?ただし怪我による影響でスタミナ面はなさそう。めっちゃやつれてます)
その都督の代わりに表舞台で頑張ってるのが主人公の影武者。
顔が都督とそっくりな上に武芸も都督並。めちゃくちゃ強いです。
ですが策謀にかけては全くの素人な感じで都督の操り人形で言いなりに動いている。

その影武者が敵国最強の名将楊蒼に再戦を申し込んでくるとこからストーリーはスタート。(戦争と言うことではなく武芸の手合わせ)
敵国とは言え今は同盟関係にある状態らしい。領土を奪われたということなので、先の戦は負け戦で降伏し停戦。領土割譲&隷属的な同盟関係を結ばされた状態と言うところでしょうか。

武芸の手合わせならいいんじゃない?みたいな都督(正確には影武者)ですが主君は国の大将同士が武芸対決とはいえ戦うというのは実質戦争じゃないか!と激怒。(王様はもうその敵国に勝てないと考えていて、勝てない戦ならするべきじゃない。と土下座外交方針)
都督(影武者)は罷免。無位無官となってしまいます。

それも都督の計画通りみたいで着々と都督の計画通りに事が進んでいきます。
まず影武者に楊蒼の武芸の破り方を伝授。なんと傘を使って戦います。(練習では傘でやってましたが対決では傘の骨がすべて刃になっている傘状の武器です)

この傘で戦うというのも理由があって楊蒼の武芸は陽の極致の技を使う。
武侠ものを見てないとわからんと思いますが武侠ものの武芸には陽の気を使ったわざと陰の気を使った技が存在します。
陽は男らしい・明るい・活気がある・炎・攻撃的な特徴があり。
陰は女らしい・水気・防御的という特徴があります。
陽の気を打ち破るには陰の気の技と言うことでわざわざ雨の日を選んで対決し水気のある武器である傘を使って女っぽいしぐさで防御重視の技で倒そうということです。

正直本当に傘を使って戦うかもしくは鉄傘を使って戦えばスコア星プラス1でした。
傘っぽいけど刃物で出来た実質傘じゃない武器で戦うのはこの理論から外れてるんですよね。なんでこれやっちゃったかなあ・・・って思いました。
練習では陰の技なので水を飛ばして戦うとか言ってたくせに実戦ではやらないし・・・

都督の計画では主人公が楊蒼との決闘の対決のどさくさにまぎれて兵を潜入させて領土奪還をはかるというもの。
無位無官となってますし相手も油断してるとこあるでしょうからね。兵の指揮権もないですし。
計画では兵の指揮権がないので正規兵は使うことはできず、都督が個人的に集めた囚人を使って戦います。
囚人たちに主人公と同じ傘の技と武器を与えいざ決戦当日!

果たして主人公は楊蒼に勝てるのか?都督は領土奪還に成功できるのか?
というストーリー。
まあそれだけじゃなく都督には野心があって領土奪還の功をもって王権を簒奪する野心がある。
王様も暗君な感じだけど都督の計画には気づいている。
さらにもちろん都督は計画がすんだら邪魔な影は排除するつもり・・・
影武者である主人公も黙ってやられるはずがない・・・影はいつまでも影で甘んじているのが当たり前と思ってないか?

そんなドロドロとした人間関係がうまく描かれています。まあ陰謀だらけですよ。騙しあいで殺し合い。ほんと人間怖い。誰も信じられない。
そんな内容。

中国のこういった政治陰謀ものはほんと出来がいいですね。

でも気に入らなかったのは先にも言いましたが傘の武器。ほんとあれは酷い。特に主人公側の兵隊は全員傘っぽい武器で武装しているんですが、傘もどきを下にひいてさらに上にも傘もどきをさして回転しながら坂を滑って攻撃しています。
なにあれ・・・
まじでどんびきでした。
しかも回転しながら敵兵をボウガンで射撃。回転しながらなのに百発百中。敵兵との弓の打ち合い(相手はちゃんと立って射撃)でエイムで打ち勝ってる。おかしいでしょ!
ほんとこの傘戦闘がなかったら良かったですね。

映像面では「影」武者というテーマだけに白と黒を基調とした水墨画のような映像で表現されています。カラー用のカメラで撮影しているのですが衣装やセットなどなどの配色にこだわり水墨画みたいな映像になっています。とても美しいです。芸術的。
音楽も古琴などの伝統音楽で統一。古代の世界に入り込んだかのような素晴らしい映像美でした。

俳優さんとしては金庸作品のドラマ『倚天屠龍記』で主人公張無忌をやってたダン・チャオ。
このドラマめっちゃ好きでした。

さらに敵の楊蒼も金庸作品のドラマ『天龍八部』の主人公 喬峯をやってたフー・ジュン。
このドラマもめっちゃ好きでした。

ヒロインの都督の奥さん役は「月に咲く花の如く」で主人公の女商人役をやってたスン・リー。
このドラマは好きって程じゃないけど結構見てました。

あと脇役の都督配下の武将には「海上牧雲記」で悪いお殿様役をやっていたワン・チエンユエン。かなり大好きなドラマでした。そしてこの役ほんと好きでした。いい感じで悪い顔するんだよなあ。
この作品では特に裏はない真面目な役ですが。

と、中国ドラマで見知った顔がたくさん出てきたのがうれしい!

総合してまあまあ面白かったです。
ただほんとあの傘もどき・・・なんなの・・・という感じ。
ちょっと残念です。
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