Omizu

ワイルド・ボーイズのOmizuのレビュー・感想・評価

ワイルド・ボーイズ(2017年製作の映画)
3.7
【第74回ヴェネツィア映画祭 国際批評家週間出品】
独特の世界観が特徴のベルトラン・マンディコ初長編作品。ヴェネツィア映画祭でプレミアされ、「カイエ・デュ・シネマ誌」ベストワンに選出された。

短編では『先史時代のキャバレー』『アポカリプト・アフター』はMUBIで観ていた。あんまり評価してはいないかな。奇をてらいすぎて下品という印象だった。

本作は…んー、評価に迷う作品だな。下品とみるか新しいとみるか…

JAIHO配信ページでも18歳以下の視聴はオススメでないという記述があるが、かなり性器とか暴力をモロ出しする映画なのでそれは妥当。人を選ぶ映画だとは思う。

モノクロとカラーの使い分けは監督の感覚的でロジックはない気がする。個人的にはいいなと思った。

短編ではユニセクシャルな描写、ギラギラした美術がそのまますぎて引いたのだが、長編にすることでいい具合に薄まったという印象。

少年たちを女性の俳優が演じるのはいいのだが、攻めた描写が多く、インティマシーコーディネーターはついているのかなとか色々心配になる。まぁフランスだしついているような気はするが。

フェミニズムというよりは露悪的な男性性をあえて提示することによる暗示というのがテーマになってくるのかな。それ自体は新しくもなんともないが、マンディコの世界観がとにかく独特で、それを楽しめるかが一つの評価軸になってくる気がする。

総じてテーマも描き方もなかなか興味深い作品であった。短編より長編の方が向いてそう。新作『After Blue』はシッチェスのコンペに選ばれているが日本では公開予定がないようだ。どこかで観られればいいなぁ。
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