tetsu

ただ・いまのtetsuのレビュー・感想・評価

ただ・いま(2018年製作の映画)
4.0
とある機会があり、鑑賞。

東京都内でルームシェアをする7人の若者たち。彼らの騒がしくもありふれた日常に、少しずつ不穏な空気が漂い始める...。

軽快なつっこみや、他愛もない日常会話、本作はある意味、現代版『サザエさん』と言っても過言ではないのかもしれない。
しかし、一方で時折挟まれる社会風刺も印象的で、「北朝鮮のミサイル」や「都会の孤独感」、「謎の殺人事件」といった不穏な出来事が、作品全体の空気に絶妙な緊張感を与えているのも面白い。
それらが予想外の形で回収されるラストには意表を突かれた。

また、大学で社会学について学んでいる自分としては、血で繋がった「家族」(学問的には「血縁集団」)ではなく、住む場所が同じという理由で「家族」の様に過ごす彼ら(「地縁集団」)を描くことで、現代日本の新たな「家族」の形を描いていたところが興味深かった。

というわけで、『ブレードランナー2048』に関する会話など、映画ファンへのネタも忘れない本作。
タイトルには様々な解釈があると思うが、僕の意見は、何が起こるか分からない日常でも、「ただ」「いま」を生きていく若者たちの物語だと思った。
tetsu

tetsu