けん坊

アンデッド/ブラインド 不死身の少女と盲目の少年のけん坊のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 怒りはすべてを超越する。
 劇中では細部触れられなかったが父親が何かしらの理由でいなくなり、その寂しさを絵で表現する中、母親は新しい恋人を作り、その恋人はクソ野郎。よくある映画内の表現であるが、そのような積み重なる怒りが頂点に達したからこそ、男に殴られ、致命傷の状態で埋められた後、人間ではない”怪物”に生まれ変わり、同じ人間すべてを憎む存在となったミーナがまずはかわいそうであると感じた。
 序盤で感じたことであるが、ミーナがジョセフを殺害し、車内でシリアルを食べるシーン。生まれ変わりおそらく人肉ばかりを食べるようになったと推測できるが、それでもシリアルを食べようとするその動作を観て、ミーナの中には人間に戻りたいという感情がかすかに残っているのではないかと。その感情がアレックスと触れ合っていくうちに、徐々に元々のミーナの人間性を高めていったのではないかと思う。それを表現するかのように、映画が進行していくうちにミーナの顔もきれいになっていったと感じたのは私だけでしょうか?(終盤にシリアルを食べられるようになっていて、私は嬉しかったです。)
 また、アレックスは目が見えないという設定だったが、これは見た目に惑わされず、その人が持つ人間性を大切にすることが重要であるという深い意味があったのではないかと推測した。正常な人間=目が見える=この映画を鑑賞する人からすればミーナの第一印象はとてもインパクトがあるが、アレックスからすればそんなことはないのであって、たまに見せるミーナのかすかな優しさに惹かれていったのではないかと思う。
 最後のアレックスのミーナを求める声はとても心に響いたが、アレックスのおかげで人間性を取り戻せたミーナには、電話番号をたどってぜひアレックスの元へ向かって欲しい。
 久しぶりにいい映画に出会えました。
けん坊

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