Automne

私、オルガ・ヘプナロヴァーのAutomneのレビュー・感想・評価

4.0
チェコスロヴァキア最後の女死刑囚の物語。
オルガ役のミハリナ・オルシャンスカが『パルプフィクション』のユマ・サーマンばりに最強ビジュで魅せてくれる。
正直言って情状酌量の余地はないし、物語は終着点に向かって淡々と進んでいくのだけれど、オルガの憂いのある瞳が『少女ムシェット』を彷彿とさせて素晴らしい。
世界から虐められるから世界を死刑に処すというような思考はヒトラー感あって良い。あれだけ啖呵切ったのに、死刑の直前に死への恐怖から潜在意識が別人格作り出すのはとてもとても人間臭くて良い。
かなり実在の事件から経緯が省かれているのでやや展開が性急だった気もした。個人的には車で人を殺すことになるまでの、電車爆破脱線計画→断念、乱射計画→銃撃訓練まで行うが断念、殺しやすい車へ決定の流れとかをじっくり見たかった。
それでも苦しみや叫び、慢性的な憂鬱が画面から感じられて良かった。同様に大量殺人犯を描いた『ニトラム』は経済的な部分とかがふわっとされていたのに対して、本作は具体的な貧困やマイノリティ、他者からの理不尽な暴力が描かれていてリアルだった。秀作です。
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