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私、オルガ・ヘプナロヴァーのkazuoのレビュー・感想・評価

3.2
チェコスロバキア最後の死刑囚オルガ・ヘプナロヴァーを描いた作品。彼女の犯した罪は路面電車を待つ群衆にトラックで突っ込み8人が死亡、12人が負傷した無差別殺傷行為。

不登校、自殺未遂、精神科入院とそこでの集団暴行、母親の無関心、父親の虐待、レズビアンの自身は性的障害者であり、誰にも理解されない絶望的な孤独…
上記要素により社会を憎み復讐として事件を起こすのだが、本人が語るような父親の虐待は作品内では見られず、母親もそれなりの関心を持って彼女に接しており、ガールフレンドがいて後に別れその辛さはあるがその後に新しいガールフレンドが出来ていて、中年男性との交流もあるなど完全に孤立した状況でもない。
後半彼女が明らかに精神を患っているシーンがあり、彼女の訴える復讐の理由はかなり誇張されている可能性を感じる。
自殺か社会への復讐(無差別殺傷)か?
映画と類似する凄惨な事件は近年の日本でも見られるケース。
映画はドラスティックにオルガの感情を表現する事なく結構淡々と描かれていていささか地味な印象も、「ジョーカー」を現実にはめ込むとこんな感じなのかもしれない。
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