ゆきゆき

私、オルガ・ヘプナロヴァーのゆきゆきのレビュー・感想・評価

3.5
1973年のチェコ、群衆にトラックを突っ込ませ多くの人間を殺害した女性、オルガ・ヘプナロヴァーの伝記映画。

まずオルガについてはもちろん肯定できないし、作品内でも彼女を正当化するように扱ってはいない。殺人もオルガの自殺行為の延長にしか見えなくそれは唾棄すべきものである。

それでも劇中のオルガに魅力を感じるのは、これは演じたミハリナ・オルシャンスカによるものだと思う。少女から大人へと成長していく中で徐々に厭世観を深めていく演技に引き込まれます。個人的に好きなシーンは、伏し目がちに煙草を吸いながら女子に声をかける所ですかね。オルガの陰キャっぷりが見事に出ています。

他者を巻き込んで社会に対する復讐と自殺を成し遂げたオルガ。しかし社会的な影響力はなく、時代も場所も社会情勢も違えど、似たような事件は世界中で今も起きている事実。結局テロってのは無意味なものなのだな、と改めて思ったりした。
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