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私、オルガ・ヘプナロヴァーのadeamのレビュー・感想・評価

2.5
8人を殺してチェコスロヴァキア最後の女性死刑囚となったオルガの半生を描いたドラマ。
10代の頃から薬の過剰摂取で自殺を図るなど精神に危うさを抱えた女が大量殺人を引き起こし、死刑執行されるに至るまでの物語です。
孤独の中で薬とタバコに溺れ、性欲の発散で現実逃避する女の哀しい生涯がドキュメントタッチのモノクロ映像で描かれる陰鬱さは心に残りました。
しかし凶行に同情を覚えるほどの社会からの孤立とは思えず、ゆえに絶望感や狂気は感じられませんでした。
よって受けるのは愚かな犯罪者という印象で、それ自体は作り手の意図があるならば悪くないと思うものの、ならばクライマックスになっている裁判シーンをバッサリ切って冷たいラストカットに繋ぐべきで、総じて主人公との距離感に迷いが否めませんでした。
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