かーりー

私、オルガ・ヘプナロヴァーのかーりーのレビュー・感想・評価

3.0
数年前にオルガ・ヘプナロヴァという死刑囚をyoutubeの動画で知って、それからずっと見たいと思っていた映画です。

「無敵の人」のように見えて、お金にも困っておらず、同性の恋人もいるオルガは彼らからすればむしろ幸福でしょう。

では、オルガが何をしたかというと、1973年(?)にチェコスロバキアの首都プラハでトラムを待っている人たちをトラックでひいて何人も殺しました。

1950〜1970年代を生きたオルガにとって、まだ精神的なケアや精神障害に対する理解が足りない時代です。
そんな中で彼女は両親から虐待を受けて育ちました。それでも映画では独り立ちを娘に『させる』のではなくお金をあげて独り立ちをさせて『あげる』微妙に優しい親ではあるんですけどね……。

オルガに関して得られる情報が限られる日本と、本国チェコでの彼女に対する思いや扱いは違うものになるのでしょう。

オルガが後に人を轢き殺すことになるプラハの下り坂で別れた恋人に拒絶されるシーン、死刑が執行された朝に家族が朝ご飯を普通に食べるシーンが印象的でした。

映画中、オルガには事件直前に結婚を約束していた男性の恋人がいた事が暗示程度にされていて「いや、オルガはレズビアンではないやん……同性の恋人もいたけどさ」と思わされるところも。

弁護士とのレスバ、拘禁状態による二重人格など印象に残るシーンは様々ありましたが、裁判中にオルガが世間を『いじめられっ子』と揶揄して「『私のようないじめられっ子』にも目を向けてほしい」と話していたのが現代にも通じるところがありますね。