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テッド・バンディのきのネタバレレビュー・内容・結末

テッド・バンディ(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

正直肩透かしを通り越してうっすら怒りすら覚える出来。公開直前に地元(トロント)のフリー新聞に掲載されていたりしたけれど、いよいよ公開となったのでまたも物議を醸しそうだなあ、なんて思います。

俳優陣は素晴らしい。
ザック・エフロンなんて見た目かなり寄せているし時々ゾッとするほどテッド・バンディに似ている。彼の恋人役を演じたリリー・コリンズは最高としか言いようのない名演を見せてくれました。この映画は彼女の映画なんだなと、リリーの実力によって思い知らされた感じ。

しかし映画自体には不満が炸裂してしまいました。
まずベースとなる実際の事件がそれほど昔の話ではないので、被害者家族がまだご健在です。その他諸々の要因もあり、この事件はいろんな意味で注目を集めました。であれば本作は配慮に配慮を重ねて作成されるべきで、それにしては慎重さに欠ける出来だったなと思う。映画を鑑賞していて「テッドがいかに恐ろしい事をしたのか」が殆ど伝わってこない!生々しい描写が無さすぎる。フラッシュバック的な感じでもいいからえげつないシーンをもっと入れるべきだったと思います。死姦シーンとか。ネトフリの事情的に入れられなかったのかな…とも思いますが、なんとかそこは頑張ってそれなりの描写をねじ込んで欲しかった。

インディーズ映画は大好きなので、所々安っぽい演出になるのは良いのですが、問題はそれが俳優陣やプロットの豪華さに負けすぎている事。実際のニュース映像などを使うのは良いけれど、それがテレビフレームや全体的か画面の綺麗さと合っていなかったり、高級な映画を見ているのか、手作り感のある暖かい映画を見ているのか、ちぐはぐな感じを受けてしまった。エンドロールに劇中と全く同じシーン、セリフの本人映像を流すのもちょっと意味がわからなかった。せっかくなら劇中でやっていないシーンを選ぶべきだし、演出が未熟なシーンが目立った。全体を通して円熟した演出も多いのに、何故…。

期待していただけに、残念でした。
き