予想していた映画とは全然違った。
度を超えた放蕩生活を、ミュージックビデオのようにカラフルで美しい映像で見せ続けられるという…。
あまりの金持ちの体たらくっぷりに、最初は白い目でマシュー・マコノヒー演じるムーンドッグのことを観ていたけれど、最終的には自分でも驚くほど見方が変わっていた。
彼を観ていたら、「なんかもっとテキトーでいいんじゃね?」って言われているような気がしてきたから。
たとえ日本中の人に(とりわけヤフコメに書き込んでそうな人たちに)、生き方や人間性を否定されたとしても、ムーンドッグの世界観だけはきっと許容してくれる。
彼はどーしようもなく不真面目に生きているけれど、根本的に優しくて、誰一人否定しないから。
人間として大切なところってこういうところなのかもしれない。
見てくれに惑わされずに、こういう部分をいくつになっても育てていかないとなって思った。
映画を通じてムーンドッグは何一つ変わらなかったけれど、観ている側の私はちょっと変えられた気がする。
ムーンドッグが好きかっていうとそうではないと思うけど、時間が経ったらもう一度観たくなる、不思議な魅力のある映画だった。