ノラネコの呑んで観るシネマ

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.8
先住民オセージ族の土地に湧き出した石油利権を巡り、欲望に取り憑かれた白人の男たちが、人間の最も暗い闇を見せつける。
3時間半もの長さを、殆ど感じさせない素晴らしい仕上がり。気が付いたら終わってた。
観る前に、ノンフィクションの原作を読んでいたのが正解だった。
原作とは言わずとも、少なくともモチーフになっている「オセージ族連続殺人事件」を予習してから鑑賞した方がいい。
登場人物が非常に多く、歴史的要素も絡んでくる。
冒頭1時間かけて事件が起こるまでの背景を描きこんではいるのだが、ある程度事前知識が無いと物語に入り難いと思う。
原作で一番ゾッとした、第三部の現代編が無くなったのは残念だが、ルポルタージュ要素の強い原作に対し、こちらは当事者の視点で語るドラマだから仕方がない。
その分、作り込まれたオセージの文化など、映画ならではの見所も増えている。
スコセッシの映画は、役者の面構えが皆良いのだけど、今回のMVPはいつも笑みを湛えながら、平気で悪魔の様なことをするデ・ニーロだ。
やっぱ凄い役者だな。
ブログ記事:
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