EDDIE

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーンのEDDIEのレビュー・感想・評価

3.3
石油発掘で隆盛を築いたオセージ族とその背景に潜む強欲の闇。マーティン・スコセッシ監督が描く物語は丁寧でわかりやすい一方、話の筋が単純明快ゆえ206分はさすがに長すぎると感じた。
もっとサスペンスフルな展開を期待した。

とは言ったものの、206分もあった…とまで長さは感じなかったのも不思議。
『アイリッシュマン』と比べれば全然観やすかったですよ。
ただ淡々と作中の事実を明かしていくような手法だからか、全然感情に訴えかけてくるものがなくて心動かなかったなぁ。

この映画の一番の魅力は、アーネストの妻となるモーリー役のリリー・グラッドストーンですね。
彼女自身がインディアンの血が流れているということである意味当事者として役を演じたというところがありますが、彼女自身もこのオクラホマ州オセージという土地の中で起きる不可解な事件に向き合っていくわけです。

ディカプリオ演じるアーネストはこの映画の中で最も自分のないキャラでした。
というのも妻となるモーリーを心から愛してるんだろうなと感じるところはあるものの、それとは裏腹に…みたいなチグハグした行動をしているんですね。
それが映画としての面白味やネタバレにもつながってくる部分ではありますが、そういう意味では本当に弱い人間だったんだろうな、と。

アーネストの叔父さんのキング役でデ・ニーロでしたが、彼はさすがの存在感でした。とはいえ、キャラの演じ方やデ・ニーロが演じる重要性からキングの持つ役割というのが予測できたのがマイナス点でした。
ジェシー・プレモンスも存在感が薄かったというか、出番が限られていたのが物足りなかったなぁと。

しかし、この映画を観て、アメリカではこんな恐ろしい過去があったんだぞという歴史を知る意味ではかなり観る意義があると感じました。
この長さで語る意味は正直わかりかねるという感じでしたが、役者が巧いのとスコセッシの演出と情報整理の巧みさはさすがだなと思わされました。

〈キャスト〉
アーネスト・バークハート(レオナルド・ディカプリオ)
モーリー・カイル(リリー・グラッドストーン)
トム・ホワイト(ジェシー・プレモンス)
ウィリアム・“キング”・ヘイル(ロバート・デ・ニーロ)
W・S・ハミルトン(ブレンダン・フレイザー)
リジー・Q(タントゥー・カーディナル)
アンナ・ブラウン(カーラ・ジェイド・メイヤーズ)
リタ(ジャネー・コリンズ)
ミニー(ジリアン・ディオン)
ヘンリー・ローン(ウィリアム・ベロー)
ヘンリー・グラマー(スタージル・シンプソン)
ジョン・レン(タタンカ・ミーンズ)
フランク・スミス(マイケル・アボット・Jr)
ジョン・バーガー(パット・ヒーリー)
ブライアン・バークハート(スコット・シェパード)
ウィリアム・J・バーンズ(ゲイリー・バサラバ)
ポラック判事(スティーヴ・イースティン)
リーワード検察官(ジョン・リスゴー)
タートン(バリー・コービン)
ボニキャッスル(ヤンシー・レッド・コーン)
ポール・レッドイーグル(エベレット・ウォラー)
オセージ族のリーダー(タリー・レッドコーン)
バーサ・ビッグ(デジレー・ストーム・ブレイブ)
ジョセフ・ビッグハート(エリシャ・ブラッド)

※2023年新作映画143本目
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