確かに体感は3時間半の割に短い。
石油によって富を得た先住民オセージ族の財産を独占するために、婚姻・脅し・殺人を駆使して権力を得ていた白人達の話。
街を支配する白人ウィリアム・ヘイルとその甥がどのようにオセージ族の連続殺人を指示していたかの全貌が2時間ぐらいかけてゆっくり明かされて、それがどう世の中に暴かれていくかを後半でさらにじっくり描く。
凄いゆっくりだから、結構最初の方で殺人計画指示の話をしてた人達が1時間ぐらい出てこなくて、忘れた頃に事件が起こる。しかも、殺人計画もふざけてるようにも見えるから、実際に事件が起きた時に事の重大さに我に返る。ディカプリオ演じる甥が自分のやってる事の醜悪さを全く考えてない浅はかさを、一緒に体感させられてる感じ。
そしてこの話、キングという最大の悪、それを暴く連邦政府が善、徹底的な被害者のオセージ族のように見えるけど、実は全員ちょっとずつ悪い。特にオセージ族は、少なからず白人による支配に甘えていたように見えた。強い信念を持っているようなことは言ってたけど結局何もしてないんだよな。
さらに糖尿病のモーリーを徐々に弱らせていた件も、インスリン以外のものを注射する以前は、インスリンの正しい使用法を理解してないそもそも糖尿病のコントロールを分かってないから余計具合悪くなってるだけな気がした。妹が夜にサンドイッチ与えてたりね。
作中で名前が出るFBI初代長官フーヴァー(過去にディカプリオが演じてて自分で自分追い詰めてるやんってなった笑)も後年はなかなか悪名高い人だし。
今回のディカプリオ、最初はかなりワルのように見えるけど、徐々に本当は弱くて叔父に恐れおののく様子が良かった。叔父に無理難題を言われたり脅されてる時の顔が、『ギルバート・グレイプ』の時の純粋無垢な少年の顔に一瞬見えるんだよな。